『フリースタイル日本統一』#23ーー悲願の日本統一は“番組白星ゼロ”の呂布カルマに託される

輪入道、SANTAWORLDVIEWーー呂布カルマに立ちはだかる強敵ラッパーたち

 前々回の【#21】より開幕した決勝戦(百万石の戦い)。ここまで、TEAM神奈川のMC☆ニガリ a.k.a 赤い稲妻が爆走し、一気にリードを広げるも、TEAM東海も歩歩が奮起により、その差を縮める。残すは、TEAM神奈川が輪入道、SANTAWORLDVIEW、FORKの3名。対するTEAM東海は、呂布カルマの1名のみ。しかも状況は芳しくなく、呂布カルマは番組ではいまだ白星ゼロ。あまりに不安すぎるラスト出陣。それでもやはり、彼はどんなときでも物語の主人公なのだった……。

 すでにオンエアから日にちも経っているため、結論から言おうーー呂布カルマ率いるTEAM東海が、優勝。日本統一を果たし、優勝賞金を獲得した。

 ただ、そこまでの道のりはとても過酷なもの。第一に、前回の【#22】終了時点でステージに立っていたのが、最恐の妖怪、バイブスモンスターなどの異名を持つ輪入道。これまで『フリースタイルダンジョン』などでも共演歴があり、お互いの手の内が知れているのも、一筋縄で勝てる相手ではないことも、呂布カルマが誰よりも理解していたところだろう。

 そんな輪入道戦の主な話題は、“サンプリング”。呂布カルマのトレードマークである、サングラスに柄シャツ姿。それが輪入道のオリジナルでもあるのか、はたまた“真似”なのか。あくまで後者だという指摘に、輪入道も“着る服まで指図されるのか?”と激昂したり、最終的には呂布カルマがかつて、輪入道の言葉を“サンプリング”していたという話題にまで発展。(サンプリングは、あくまで“真似”と同義でないと前置きしておくが、)お互いをリスペクトしながらも、根深い関係を持つふたりだからこそ、話題の出所もとても複雑、かつ具体的だ。

 だが、結果は3-2で呂布カルマの勝利に。試合後に残した「こうなったら俺、強いですよ」の言葉通り、その勢いままにTEAM神奈川の5番手・SANTAWORLDVIEWを5-0の圧勝で撃破。とはいえ、輪入道に対してと同様、呂布カルマのラップに感じられたのはアーティストとしてのリスペクト。ジェロム・レ・バンナなど、ボクシングや格闘技のネームドロップを多用したバトルのなかでも、SANTAWORLDVIEWの方から出てきた“勝利の女神”のフレーズを拾って、〈勝利の女神とか今更そういうの無しだぜ 勝利の男の神様かもしんねぇ 更に言うともしかしたら 俺がそのものかもしんねぇ〉〈俺のケツを追えよ Boy〉と、自らの強烈なボースティングに繋げた場面がとても見事だった。

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