“2代目”ドンキーコング活躍の歴史と新展開への期待 リメイク版『マリオvs.ドンキーコング』発売を機に振り返る
アニバーサリー尽くしの2024年。またも大きな転機が……?
なお、マリオと初対決を果たして以降の2代目ドンキーコングは、「スーパードンキーコング」シリーズの流れを汲まない新たな主演作で活躍。『マリオvs.ドンキーコング』も続編『マリオvs.ドンキーコング 2 ミニミニ大行進!』(ニンテンドーDS)が2007年4月12日に発売され、シリーズ化を遂げた。ほかにマリオシリーズへの出演も広がっていった。
しかし、結果的にマリオシリーズとの関連性が強まって以降、最も大きな成功を収めたのは、2010年12月9日にWii向けに発売された元来の主演作、「スーパードンキーコング」シリーズの正統続編『ドンキーコング リターンズ』。その成功から、2014年2月13日には続編『ドンキーコング トロピカルフリーズ』がWii U向けに発売され、久々にシリーズとしての動きを見せている。ちなみに『ドンキーコング トロピカルフリーズ』も、2024年で発売から10年の節目を迎えた。
逆に『マリオvs.ドンキーコング』は続編以降、自走する「ミニマリオ」たちを導きながらゴールを目指すパズル寄りのゲームになり、最初の『マリオvs.ドンキーコング』のようなアクション性を持った新作は出なくなってしまった。
この路線の新作は2015年3月19日発売の『マリオvs.ドンキーコング みんなでミニランド』(Wii U、ニンテンドー3DS)まで続いたが、その売上はマリオシリーズ、ドンキーコングシリーズ全体で見ても大変厳しいものになってしまい、以降、シリーズ展開は止まってしまっている(※『ドンキーコング』の名は冠していないが、2016年1月28日には関連作品として『ミニマリオ&フレンズ amiiboチャレンジ』がWii U、ニンテンドー3DS向けに配信されている)。
主演作、「スーパードンキーコング」シリーズも『ドンキーコング トロピカルフリーズ』を最後に10年以上、新展開がない。背景には『ドンキーコング リターンズ』以降、シリーズの開発を担ってきたレトロスタジオが『メトロイド プライム4』の開発に注力するようになってしまったことが影響していると推察される。
結果として、ここ10年のドンキーコングはマリオシリーズのキャラクターのひとりとしての出演が大半を占めてしまっている。2023年にも映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ ムービー』にて、マリオシリーズのキャラクターとして出演するなど、もともと主演作持ちのキャラクターであるという過去が薄れ始めている。
そんななか、発売されたこのたびのリメイク版『マリオvs.ドンキーコング』。オリジナル版は当時、そこまで大きなヒットを飛ばさなかったことから、リメイク版の発売には首をかしげたくなる面があるのも事実だ。しかし、「ドンキーコング」シリーズの歴史を振り返ってみれば、本作が何らかの転機を示唆しているような気がしてならない。
そもそも、前述したように2代目ドンキーコングは、2024年で誕生と世代交代から30年というアニバーサリーを迎える。本稿執筆時点での主演最新作『ドンキーコング トロピカルフリーズ』からも10年だ。これ以外に主演作4作目の『ドンキーコング64』(NINTENDO64)の発売、(ややマニアックだが)テレビ東京系列で放送されたCGアニメ『ドンキーコング』の放送開始からも2024年で揃って25年になる。
多数のタイトルが区切りのよいアニバーサリーを迎えるなかで、「ドンキーコング」シリーズにもなんらかの転機が訪れるのではないか。リメイク版『マリオvs.ドンキーコング』の発売は、そんなこれからの展開を示唆する初手の可能性が考えられるのだ。
実際、2024年春にはユニバーサル・スタジオ・ジャパンの「スーパー・ニンテンドー・ワールド」において、新エリア「ドンキーコング・カントリー」の開業が予定されている。「ドンキーコング・カントリー」とは「スーパードンキーコング」シリーズの原題だ。そんな名の新エリアが開業ということは、ゲームの方にも新展開があるのか? 10年にわたり、マリオシリーズへの出演が続いていた“ジャングルの王者”が本家本元に戻るときが来るのだろうか?
あくまでも推測の域は脱しないが、こんなにもドンキーコングにとってのアニバーサリー尽くしになっている2024年。このたびのリメイク版『マリオvs.ドンキーコング』を遊びながら、主演作の帰還を心待ちにしたい。
そして、仮に主演作が帰還を果たすのなら、その音楽を奏でるのは『ドンキーコング トロピカルフリーズ』に引き続き、デビッド・ワイズ氏であってほしいと切に願うばかりだ。
©Nintendo
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