求道者・SPYGEAの誕生、スト鯖ARKにホロライブのガチ勢が参戦……2023年のゲーム配信を振り返る

ホロライブが「スト鯖」に本格参戦 初参加から存在感を示したとあるタレント

「格ゲーのコーナーが会場にあってさ、『ストリートファイター6』が今度発売するんだよね。わためちゃん興味ある?」

 これは、千葉・幕張メッセで5月13日・14日に開催されたゲーミングフェス『DreamHack Japan 2023 Supported by GALLERIA』において、獅白ぼたんが角巻わためにむけて発した言葉だ。

 イベントがおこなわれたのは『ストリートファイター6』発売直前だったわけだが、筆者は獅白ぼたんの口から『スト6』の名前が出るのを意外に感じていた。彼女といえばFPS/TPSジャンルが得意なタレントという認識で、格闘ゲームのイメージはまったく無かった。

 そんな彼女に対して、わためは昇竜拳を真似ながら「気になる!」と返しており、そこだけを切り取れば仲の良い同期によるほほえましい雑談の一幕。しかし、この後獅白ぼたんはバッチリ『スト6』にハマっていくこととなる。

 先述したように、獅白ぼたんが大会に出場するほどまでに『スト6』にハマっていった。流行の一役を担うとは思っていなかった。

 そして、こうした「これまでのホロライブとひと味違ったシーンへの進出」が、ことしはとくに多く見られた。

 ホロライブの面々というと、VTuber/バーチャルタレントシーン全体では抜群の存在感を放つものの、ストリーマーらも含めて近年盛り上がりを見せているゲームコミュニティのなかでは比較的存在感が薄い印象があった。

 理由としては単純明快、大型の企画や大会への参加者が非常にすくなかったからだ。2022年に湊あくあ・星街すいせい・常闇トワの3名が『V最協決定戦』に「Startend」として出場した際、ホロライブファンどころか界隈のファンの多くが驚いたことからもわかるだろう。

 しかし今年に入ると、『ストリートファイター6』『ARK: Survival Evolved(以下、ARK)』『VALORANT』『Apex Legends』などを採用した企画・大会に、師白ぼたん、戌神ころね、百鬼あやめ、夜空メル、癒月ちょこ、白上フブキといった面々が続々と参加。かねてからストリーマーシーンに顔を出していた常闇トワ、ラプラス・ダークネス、夏色まつり、ホロスターズの面々にくわわるようになり、ファンたちも大きく注目していた。

 そんな“新・参加組”のなかでとびきり強い印象を残したのは、『ARK』での“ムキロゼ”ことアキ・ローゼンタールだろう。

【VCR ARK】初参戦!!スト鯖ARKにムキロゼ降りたつ【アキ・ローゼンタール/ホロライブ】

 2020年1月から3月にかけてホロライブ内サーバーで初めて『ARK』をプレイしたアキ・ローゼンタール。自分のビジュアルとはまったく異なる筋骨隆々な男性アバターをほぼ全裸の状態で操り、かつてホロライブに所属していた桐生ココが「ムキロゼ」と呼んだことからその呼び名が定着した。

 長時間にわたってのプレイ、ゲーム外でも『ARK』について勉強して配信に臨むなど、順調にハマっていった彼女。真面目に『ARK』をプレイする一方で、部屋やチェストの中身を片付けられないズボラさ、極度の方向音痴ぶりをみせたりと、さまざまな魅力をみせるようになっていった。

 知識・プレイ時間を重ねていくと、『ARK』を毎日のようにプレイするガチ勢からも少しずつ注目されるようになり、最終的には視聴者向けサーバー「ムキロゼサーバー」を運営するほどに。いつしか彼女は“プレイ時間4000時間を超える『ARK』ガチ勢”となったのだ。

 そんな彼女は、2023年10月2日から12日かけて開催された『VCR ARK2』に初日から参加した。SNSでその一報が届いた時には、参加を喜ぶホロライブファンの声とともに、「どういった会話で周囲と馴染んでいくのか?」という部分にも注目が集まった。

 心配、期待、あるいはそのどちらも。そんな空気が漂うなか、柔和で優しそうな声、時折見せる茶目っ気、細かい数字感覚を無視したゴリ押しプレイ、少々過激な話題にもしっかり乗っかれる懐の深さなど、ギャップにあふれた自身の魅力を全開にして、ストリーマーたちの温度感に見事にフィットしていった。

【スト鯖Ark】とんでもない下ネタで皆に笑顔を届けるまざーさん【らいじん/アキ・ローゼンタール/MOTHER3】

 基本的に24時間休みなくサーバーがオープンされていた『VCR ARK2』では、8時間を優に超え、YouTubeの生配信で1枠におさまるギリギリとなる12時間すらも超えてプレイする者が何人もあらわれた。

 『VCR ARK2』は「タワーディフェンス」の要素を取り入れていたのが大きな特徴で、深夜帯に襲ってくる「恐竜ラッシュ」に耐えるために参加者全員で防衛拠点たる街を作るという内容だった(ときには朝5時や7時に小規模の恐竜レイドが起こることも)。

 そんな街のなかに居を構えていたわけだが、とあるタイミングでの「恐竜ラッシュ」で家が半壊状態に。そのため近隣に住んでいた面々と顔を合わせ、3軒が1つの大きな城を建造することになった。

 ストリーマーのととみっくす、MOTHER3rd、ぶいすぽっ!の八雲べに、橘ひなの、小森めと、にじさんじのエクス・アルビオ、ラトナ・プティ、にじさんじの誇る“ARK廃人”である本間ひまわり。さらに『League ofLegend』元プロプレイヤー・らいじん、Zerostといった面々が、1つの城のもとに集結することに。

 さらにアキがホロライブから同じく『ARK』好きな癒月ちょこ、白上フブキらを連れてきたことで、これまでのシーンでは見られなかった一大チームが結成された。

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 1匹の恐竜を捕獲するために数時間以上の時間をかけたり、日々激化する恐竜ラッシュのために街の拡充・整備を進めるだけでなく、「プレイ時間4000時間」のなかで培った知識をチーム内外につたえていくことで、徐々に顔が広まっていった。

 仲良くなるにつれて冗談を言い合い、ととみっくす、MOTHER3rd、八雲べにが率先してコント芸を仕掛けたりするなど、初参加となった彼女を迎えるムードは非常に良かった。居心地の良さも相まってか、自然とアキの配信時間は毎回10時間を超え、睡眠時間を削ってプレイするのが日常になったのだ。

アキ・ローゼンタールに本格的にハマり出し言動が暴走するClutch【Ark: Survival Evolved】

 『VCR ARK2』が終了したあとも、12月23日まで開催されていた『VCR GTA2』にふたたび参加したアキ。その際には、ととみっくす、MOTHER3rdらとともにギャングを結成することとなった。

 しかも、このギャングには、にじさんじ/ぶいすぽっ!/Neo-Porte/ななしいんく/VEEの所属タレントが偶然にも集まることとなり、注目度の高い6つの事務所が一同に揃うこととなった。

 『VCR GTA2』にはホロライブ・ホロスターズから10人以上のタレントが参加し、ストリーマーサーバーにまつわるイベントとしては過去最多の参加人数となった。VTuber/バーチャルタレントシーンからストリーマーのファン達にもリーチするホロライブの新たな動きが、来年以降どんな反響を呼ぶのか。ぜひ注目すべきだろう。

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