脳科学とAIが融合した最新テクノロジー「ニューロミュージック」とは? 宇川直宏や『攻殻機動隊』制作チームが語り合う

 また、これまでの音楽のサイエンスは波形に答えを求めていたが、音楽を聴いた時に感情が変化することを説明できなかった。しかし、ニューロサイエンスが登場したことで音楽と結びついて脳の状態を測る音楽の神経学という分野が生まれ、これによって音波が神経信号に変換され、神経信号側でどう処理されているかわかるようになったという。藤井氏はその上でこう述べた。

「過去に入ってきた展開をもとに、次に何を予測するのか。そして、予測の誤差が生じ、自分の次の行動をどう作り出していくのか。みんなが創造性と呼ぶものが音楽の中には全て含まれている。脳波を見ればそれが理解できるかもしれないという可能性があるところに音楽の神経学の面白みがある」

 さらに藤井氏は、今まで計れなかった脳情報をすぐに測れるようになり、かつそれを音楽に反映することで、より良い世界に人類を導けるかもしれないとの予想も口にした。

 トークセッションの後にはスペシャルプログラムとして、藤井氏と脇田氏がリアルタイムで脳波をビジュアライズしながら、ニューロミュージックを演奏する未来のアートを体験するオーディオビジュアルライブを披露されたほか、VIEとAbletonのコラボレーションによるニューロミュージック制作のワークショップも開催。アーティストの食品まつりがAbletonの最新ハードウェアとNeuro Music Kitを駆使して、「サウナの整い椅子で聴く音楽をシータ波で制作する」をテーマに10分間でニューロミュージック制作を実践するパフォーマンスを披露。この日のイベントも大盛況のうちに幕を下ろした。

 ニューロミュージックは、これまでアーティストが感覚的に周波数を操作することで、人々に与えていた感情を動かす脳への刺激を科学的に解析することができる。これによって、従来以上にアーティストがその効用を的確に操ることができる可能性がある。そのようなテクノロジーがより発展していけば、これまで以上に人々の感性に触れる音楽が生まれるはずだ。そして、そのような音楽を通じて、より音楽の作り手が曲に込めたメッセージやビジョンも人々に共有されやすくなるのではないだろうか? そうなったとき、音楽という文化もより文化的にユニバーサルで価値があるものになる。そんなことを思わされるイベントだった。

■商品情報
『VIE Tunes』
脳に効果のある音楽「ニューロミュージック」をアプリで提供。直感的なスライダー機能により、「現在の状態」から「なりたい状態」を選択すると、音楽が最適な脳状態へ誘導します。様々なアーティストが制作したニューロミュージックを配信します。
 
配信開始日:2023年12月6日
対応OS:iOS / Android(近日公開)
価格:初月無料 / 月額500円
製品URL:https://vie.style/pages/vie-tunes
アプリURL(iOS):https://apple.co/480jbQL

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