麻布台ヒルズに移転『チームラボボーダレス』先行レポ どこまでも続く“境界のない世界”

 2022年夏までお台場で開催されていた「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス(以下、チームラボボーダレス)」が、麻布台ヒルズに場所を移し、2024年2月上旬にリニューアルオープンする。今回、オープンに先駆けてプレス内覧会が開催された。

 チームラボボーダレスは「地図のないミュージアム」。体ごとアートに没入し「境界のない1つの世界の中で、さまよい、探索し、発見する」というのがこのミュージアムのコンセプトだ。今回は、新たに発表された3つの作品を紹介する。

世界初公開の新作を発表

「Bubble Universe: 実体光、光のシャボン玉、ぷるんぷるんの光、環境によって生み出される光」

 今回発表された新作《Bubble Universe: 実体光、光のシャボン玉、ぷるんぷるんの光、環境によって生み出される光》について、チームラボ代表の猪子寿之氏は「自分が何を見ているのか、フォーカスがどこにあたっているのか、わからなくなるような空間」と語った。

自分が今どこにいるのかわからなくなる

 実際に足を踏み入れてみると、部屋の広さを把握することができないほどのキラキラした空間がどこまでも広がっている。人がじっと立ち止まっていると近くの球体が強く光り、隣り合った球体へと光が伝播していく。

いくつもの光を取り込むシャボン玉

 「シャボン玉の光は物理世界にはなく、認知世界に存在しているもの」と説明する猪子氏。空間は無数の球体で埋め尽くされ、それぞれがそれぞれの輝きに干渉し、入り混じっている。わたしたち人間が見ている世界の現象は、環境との連続的な関係性の中に存在しているということを作品を通して示唆しているのだ。

鏡面の床から下方向へも広がっていくシャボン玉の空間
鑑賞している自分も、球体の一部になっていくようだった

花と人 - Megalith Crystal Formation (work in progress)

手探りで進んだ暗闇の先にはたくさんの花びらが浮かぶ

 案内されたもうひとつの場所は壁沿いを歩かなければならないほど真っ暗な部屋だった。ここには2つの作品がある。一つは「花と人」だ。

人が介入すると散ってしまう儚さ

 花々が誕生と死滅を繰り返していく様子を描いている。綺麗に咲く花も、人間が動き回ると散ってしまい、人が動かなければより多く咲く。人の動きを感知して映像はリアルタイムで変わり続ける。

Black Waves - Megalith Crystal Formation (work in progress)

“海は全ての海と繋がっていて、この世界の全ての波は繋がりあっている”

 同じ場所では「Black Waves」という作品も見ることができる。波が立ち上がって崩れていく様子は、生まれては散っていく生命のようにも見える。同時にそれらは海の一部でもあったということに気づく。

 作品はチームラボの考える「超主観空間」により表現されているため、鑑賞者の視点が固定されず作品との間に境界をつくらない。波は無数の水の連続体で表現し、粒子間の相互作用を計算して3次元上の水の動きをシミュレーションしているという。

これからも続々と生まれる予定のアート群

 「アートによって、自分と世界との関係と新たな認識を模索したい」という思いをもって世界各地で作品を発表し続けるチームラボ。

 今回は3作品の公開となったが、チームラボボーダレスでは来年2月のオープンに向けて新たな作品の制作が進められている。

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