『Cities: Skylines II』『ARK』に数々の不具合 なぜ話題作が“不完全”でリリースされるのか
増える「不具合を抱えたままリリースされるタイトル」。その背景は?
なぜ『Cities: Skylines II』と『ARK: Survival Ascended』は、こうした不具合を抱えたままリリースを迎えることになってしまったのか。そこには、開発難易度が増したことによる経済的・時間的コストの肥大化や、ユーザーがコンテンツを消費するスピードの高まりなどが影響しているように思う。
昨今では、バグが見つかっても開発側がなかなか対処できず、解消が先送りにされるケースも増えてきた。そもそもプレイに支障が出るほどのバグが発生する頻度も、かつてに比べると多くなっている実感がある。たとえば、『ARK: Survival Evolved』では、リリースから長い時間が経過しているにもかかわらず、特にコンシューマー版において、処理落ちなどが放置されてきた。
もちろんこうした状況の裏には、それらのタイトルが抱える開発環境・開発姿勢の問題もあるだろうが、一方で、どれだけ規模の大きなタイトルであっても、将来的な進捗が読めないなかで、しばらく先の発売時期をユーザーに向けて発信しなくてはならず、それによってパブリッシャーを含む制作側が、及第点まで体験の質を向上させることと、リリースを待つユーザーの期待とのあいだで板挟みになっている面もあるのではないか。バグと同様に、制作側が発売日を延期する例(そして、その理由として「さらなるクオリティアップのために~」という常套句を耳にする例)も増えてきている。
これらの要素に鑑みると、『Cities: Skylines II』や『ARK: Survival Ascended』のように前作が成功してきた作品であっても、リリースの遅れが「コストの回収」と「ユーザーの期待に応じること」の両面で、致命的な問題となりかねない実情も見えてくる。PCプラットフォームにある「アーリーアクセス」の文化は、その折衷案なのかもしれない。本稿で取り上げている『ARK: Survival Ascended』もまた、同方式によってリリースされている。その条件のもと、ユーザーの一部が今後のアップデートを前提にプレイしている点も、仮定に対する裏付けとなるのではないだろうか。
制作側にとっても、ユーザー側にとっても、“期待どおりの船出”とはいかなかった『Cities: Skylines II』と『ARK: Survival Ascended』。潮目が変わるのは、どれくらい先になるだろうか。解消を諦めるような対応だけは避けてほしいところだ。
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