「Xbox Game Pass」成功の秘訣は“三方良し”を作り上げたこと? Microsoft Xbox担当の副社長、サラ・ボンドに聞く
eスポーツやアクセシビリティを始めとするゲームの“多様な楽しみ方”について
ーー直近で、日本国内ではeスポーツへの関心が非常に高まっています。Xbox Game Passに『VALORANT』や『League of Legends』といった人気のタイトルが追加されたことで、コミュニティからは注目されていました。Xboxはこういったeスポーツ市場に対して、どのようなまなざしを向けていますか?
サラ:eスポーツというものは、ユーザーに対して新たなゲーム体験の方法を提供できる素晴らしいものだと考えています。実際にそのタイトルをプレイしていないユーザーでも、選手を応援という形で参加ができますし、ゲームについてもより深く知ることができますよね。ゲームについて詳しくなかったり、触れてこなかった人がゲームに触れるきっかけにもなりますし、そうした接点としてもとても良いものだと思います。
ーーアクセシビリティの取り組みについてもお聞かせください。『Xbox Adaptive Controller』や「Forza」シリーズなど、Microsoftはアクセシビリティについて強い関心があると思います。一方で、その他のプラットフォームやストアに目を向けてみると、Microsoftほどにはアクセシビリティ機能を充実させることが出来ていないタイトルも多いように感じています。これはリソースやノウハウの不足なども原因にあるかと思いますが、こうした現状に対してMicrosoftとしてはどういったアプローチができるとお考えでしょうか?
サラ:私たちとしては、アクセシビリティというのは誰にでも関係のある問題だと思っています。ハンディキャップのあるユーザーはもちろん、たとえば怪我をしてしまった時などには、その間にアクセシビリティ機能を必要とすることもあるでしょう。
私たちができることとしては、まずは業界全体にこうした取り組みについて広めていくことがひとつ。そしてもうひとつが、開発者向けの開発ツールに投資を継続していくことだと思います。そうすれば、どのようなアクセシビリティ機能を組み込めばよいのか、そしてそのためにはどうすればいいのかといったことがわかるでしょうし、それはXboxプラットフォームに限らず有用なものになると考えています。
ーー「ゲーム事業を主導する人物はゲーム好きであって欲しい」。そう考えるユーザーも多いのではないかと思いますが、サラさんとゲームの関わりについても最後にお聞かせください。
サラ:私ももちろんゲームが大好きですよ。私自身はパズルゲームや横スクロールが好みですが、夫がFPSなどが好きで、よく横で眺めたり一緒に盛り上がったりして楽しんでいます(笑)。それから、私の子どもは『Minecraft』や『Hi-Fi RUSH』がお気に入りで、それについて話してくれるのを聞くのも大好きなんです。プレイするのと同じくらい、私は誰かがゲームを楽しんでいるのを見るのがすごく好きなんですね。
個人的なお気に入りのタイトルだと、一番思い出深いのは『ゴールデンアイ 007』ですね。最近のタイトルでいうと、少し前になりますが「Ori」シリーズはすごく美しいゲームなので好きです。ここ数週間は出張や移動が多いので『Vampire Survivors』で遊ぶことが多いです。ちょっとした時間で手軽に遊べますからね。いまも目を閉じれば「聖書(作中に登場する武器)」が回っているところが浮かんでくるぐらいにはドハマりしています(笑)。
ただ、これだけは伝えておきたいのですが、私はXbox Game Passについて「私が好きなものの詰め合わせ」にしないように気をつけています。「私はこのゲームが好きだから、みんなもそうだよね」と言うのは簡単かもしれませんが、私のすべきことはそうではありませんから。
私の仕事は、多くの人に愛されるゲームや、好きなジャンル、要素などを幅広く理解し、それを届けることなのです。音楽や映像に惹かれる人、ちょっと怖い思いをするからホラーゲームが好きな人など、さまざまな「好き」があるでしょう。私としては、すべての人々の「好き」を平等に考えて、たくさんのゲームを今後も提供していきたいと思っています。
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