なえなのや森香澄らが所属するseju・プロデューサーが語る“SNS時代の育成論” 「スカウトの基準にフォロワー数は関係ない」

「まだ世の中のどこにも染まっていない、“これから”の子を見つけていきたい」

――なえなのさんの他にも森香澄さんなど幅広いタレントさんがいますが、どんな方法で所属タレントを集めているのでしょうか?

上田:最近では紹介や応募フォームからの申し込みもありますが、基本はスカウトになります。まだ世の中のどこにも染まっていない、“これから”の子を見つけていきたいと考えています。ビジネスの特性上、SNSのフォロワーが多いか少ないかをスカウトの判断にしますが、sejuはおそらく他のインフルエンサー系を取り扱うプロダクションに比べてフォロワー数を重視していません。

――SNSとメディアの両方で活動できる子をたった1年でこれだけ獲得できた事に驚きました。

上田:これまでも、インフルエンサープロダクションから始まって芸能の仕事もできるような事務所はありました。そのなかで僕らは、その両方を色濃く世の中に打ち出せたのだと思います。しっかりと示したことで、インフルエンサーの子たちがsejuはどちらもできる場所だと憧れを持ってくれたのかなと感じています。あとはやはり、いま所属してくれているタレント、特になえなのたちが業界の中で目立つ存在になってくれているのも大きいと思います。

――先ほどスカウトの話が出ましたが、sejuにはどんなタレントさんが多いですか。

上田:一時期はショートボブヘアの「なえなのっぽい子」が多いと言われていましたが、今は多岐に渡っていると思います(笑)。清純そうな子もいれば、TikTokで面白いコンテンツをやっているような子もいて、一概にこのジャンルということはありません。インフルエンサーは同性のファンから憧れられることが多いのですが、sejuのタレントは異性のファンからの人気も高いように思います。

――たしかに幅広いタレントが所属していますね。

上田:現代は誰でも個人で活動できる時代です。だからブランディングが完成している子を事務所に招き入れて仕事をやってもらうというのは、プロダクションの在り方ではないのかなと。「周りから可愛いと言われたので試しにSNSに写真を載せたらやっぱり褒められた」。そういう子に、どんどん芸能やインフルエンサーとしてのステップを踏ませてあげたいというのがsejuの大きなテーマかもしれません。

――自分自身でうまく売り出せない子が所属したらSNSや芸能のノウハウを蓄積してくれるというのは、SNSマーケティングというより芸能の視点だと感じました。それを求めている女の子はすごく多そうです。

上田:まさに、sejuのような事務所を求めている女の子は多いと感じていました。「気軽にSNSに投稿したらバズっちゃった子」のなかには芸能活動を頑張りたいという意識がまだ低い子もいますが、仕事を一つ一つクリアしていく内に意欲が湧いてくると思うんです。そこをsejuがプロデュースしたいですね。これまでそういう子は大手の芸能事務所に所属していましたが、いまの選択肢の一つとしてうちみたいな事務所があってもいいんじゃないかと思っています。

――たしかに、その通りですよね。

上田:でもsejuを立ち上げるときには、時代に逆行していると言われたんです。今は個人のプロデュース力を最大限にする個人軸のマネタイズが必要なときなのに、プロダクションを作ってプロデュースするなんて時代錯誤だとか、そんなことは失敗するだろうとも言われました。いまではいろんな方が所属してくれているので、結果としていい方向には進めていると思います。

――seju所属のタレントは拡散力がありますよね。拡散することをメディア側から求められませんか?

上田:もちろん求められます。そしてタレント側はそれをすべきだと思いますね。ここ数年、既存の雑誌媒体が月刊誌から期刊誌になり、なかにはウェブに移行したものもある。テレビもそれと同様な部分があります。そこでタレントに代わってSNSに強い子を使うのは、ある種の拡散力が求められているからだと思います。なえなののメディア露出が増えているのは、業界自体のそういう流れもあるのかなと考えていて。でも、僕はテレビなどの既存のメディアは絶対になくなることはないと思っています。今後は、今でもそうですが既存のメディアとSNSの結び付きがさらにくっついていく流れになるのではないかと。だからこれからはSNSを一つの自己発信ツールとして使うべきですよね。よほどブランディングを脅かさない限りは自分が出演するコンテンツは自分のSNSできちんと発信したほうがよいと考えます。

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