『ピクミン4』は実質『オッチン4』? 主役を“食う”ほどの存在感を放つ「オッチン」の功罪

 任天堂から2023年7月21日に発売された『ピクミン4』はなかなかの人気のようだ。ファミ通.comによると、パッケージ版の推定販売数は初週約40万本、翌週には累計51万本を越えている。

 『ピクミン4』は、レスキュー隊として、未知の惑星に散り散りになった仲間たちを救出するアドベンチャーゲーム。この星には謎の生物「ピクミン」たちがいるため、彼らの力を借りてレスキュー活動を行っていく。

 シリーズとしては前作から10年ぶりの登場となり、ゲームシステムも過去の要素を整理して入れ直したりと、新たな試みがいろいろと用意されている。なかでも注目したいのが、主人公の相棒となる宇宙犬の「オッチン」だ。

 オッチンは本作ではじめて登場するキャラクターなのだが、すでに高い人気を獲得している。そして、その人気が仇になっている側面もあるのだ。

※本稿は『ピクミン4』のストーリーに関する一部ネタバレを含みます

ピクミンよりも目立つオッチン

黄色の犬のような生き物がオッチン。その上に乗っている生物がピクミン(赤ピクミン)

 オッチンが人気な理由は大きく分けてふたつあると考えられる。ひとつは、哺乳類であり植物のようなピクミンよりも親しみやすいから。そしてもうひとつは、ゲーム的に非常に能力が高くて優秀だからだ。

 ピクミンは半動物・半植物の奇妙な生き物である。知能は高いものの、生まれるときは植物のように地面から生えてくるし、盲目的にリーダーの言うことを聞く従順すぎる生物だ。

 ストレートにかわいいキャラクターというよりは少しひねった存在で、宮本茂も「女子高生ぐらいの人たちがカワイイって思えるようなキャラにしよう」と考えていたと任天堂公式サイトのインタビューで語っている。

 そんなピクミンと比較すると、オッチンはかなり馴染み深い。少し目がギョロっとしているものの、ふさふさの体毛や犬らしい仕草は愛らしく感じられるだろう。

オッチンはピクミンの何倍も働いてくれる

 そして、ピクミンはかなり儚い生き物である。原生生物と戦うときはピクミンたちを投げて戦わせるのだが、すぐに食べられてしまったり押しつぶされて死んでしまう。

 一方、オッチンはかなり強い。ピクミンと異なりきちんとしたHPゲージがあるうえ、もしそれがゼロになったとしても、しばらく待機すれば回復する。さらに、骨を与えてHPを回復することも可能なのである。

 なにより、ピクミンとオッチンは貢献の度合いが違う。ピクミンたちもオタカラを運んだり、原生生物と戦ったりしてくれるのだが、オッチンはその何倍も働く。

 オッチンは主人公と同じくピクミンたちを引っこ抜いたり、ニオイを嗅いでなにかを探したり、体当たりや噛みつきで敵を攻撃したり、はたまた巨大すぎるスイカなどを一匹で持ち運ぶこともできる。

 ピクミンは水に強い「青ピクミン」や電気に強い「黄ピクミン」などが存在するものの、オッチンはもともと水に入ることができるうえ、遭難した人たちを見つけていく過程で炎や電気すら克服できる。鍛えれば鍛えるほど、オッチンは恐ろしい強さを発揮していくのだ。

 このように『ピクミン4』には、奇妙な生き物で儚く死ぬピクミンと、見た目が哺乳類に近いうえに強くて頼れるオッチンという、2種類の相棒が存在するのである。どちらが好みかは人それぞれだが、明らかに目立つのはオッチンのほうだろう。

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