メタルギアの原点『MGS3』はなぜ今リメイクされるのか 「Δ」が示唆する文化的遺伝子の伝承

『メタルギア』という種の保存

 The Video Game History Foundation(VGHF)とSoftware Preservation Network (SPN)が共同で行った調査によると、アメリカ合衆国におけるクラシックゲーム(レトロゲーム)の87%は“絶滅の危機に瀕している”そうだ。MicrosoftはXboxシリーズの後方互換対応などで熱心に取り組んでいるが、容易に過去のタイトルにアクセスできる機会は、時の流れと共に失われつつある。

 そんななかコナミが打ち出したのは、2023年10月24日に発売される『メタルギアソリッド マスターコレクション Vol.1』だ。これには『メタルギア』から『MGS3』までの6つの物語が収録されている(海外のみでファミリーコンピュータ向けに発売された『SNAKE'S REVENGE』を含む!)。

 これらは『MGSΔ』のようにリメイク作品ではないが、ニンテンドースイッチ/PS5/Xbox Series X|S/Steam向けに発売される(Xbox Series X|S/Steam版はダウンロード販売のみ)。これらはいわゆる現行機と呼ばれるハードであり、「いま『メタルギア』をプレイしたい」というユーザーにもうれしく、「『メタルギア』をプレイしてほしい」と願うファンにとってもプラスとなる。

 前述の通り、「Δ(デルタ)」という文字は、数学・変数の「変化」「差」を表す記号であり、構造を変えずに量を変化させる意味が込められている。つまり『MGSΔ』は、物語はもちろん、基本的なゲームデザインは変化せず、デジタルの魔法を使って再び紡がれるというわけだ。

 筆者個人としては、終結作である『メタルギアソリッドV ファントムペイン』のように、TPSらしい現代的な操作感覚で便利な機能を盛り込んでくれても構わないと考えているし、現代の若いゲーマーの多くも同意してくれるのではないだろうか。

METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER - アナウンストレーラー (4K:CERO)

 現在『MGSΔ』は実際のゲームプレイを含まないティザー映像のみが公開されているため、具体的なものは美麗なグラフィック程度しか想像がつかない。往年のファンと、新規プレイヤー、双方が納得するような作品であることを願うばかりだ。

(source)
http://gamehistory.org/87percent/

©Konami Digital Entertainment

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