『ざんねんないきもの』のYouTube版? 動物紹介系チャンネルが“ダチョウの頭の悪さ”を痛快に皮肉る

 2023年7月8日、「地上に出たモグラ、バケモノを知る」という動画が急上昇にランクインした。この動画を投稿したのは、動物紹介系YouTuber「オールマイティ・ラボ」。今回はYouTubeに動物解説チャンネルは数多く存在するなかで、なぜ「オールマイティ・ラボ」が注目されているのだろうかを分析していく。

地上に出たモグラ、バケモノを知る

貪欲に再生数を求めた、2つのターニングポイント

 オールマイティ・ラボとは、動物の少しマヌケなところに着目し、独特なワードセンスで紹介するというチャンネルである。だが、このスタイルは活動当初から定まっていたわけではない。オールマイティ・ラボの活動遍歴は3つの時代に分けられる。チャンネルが開設されたのは2013年2月。活動初期は、自身が飼育している「フトアゴヒゲトカゲ」について投稿していた。そして2020年7月、最初のターニングポイントである「人殺しチンパンジー」という動画を投稿。それまでは5000前後の再生回数だったのだが、こちらの動画は8.6万回再生された。

人殺しチンパンジー

 その後は動物紹介を増やしつつ、インパクトのあるトピックを取り扱った動画を投稿。そして2022年5月、2つ目のターニングポイントとなる「ダチョウの頭が悪すぎる」という動画を投稿し、384万回再生の大ヒットとなる。

ダチョウの頭が悪すぎる

 そして現在は動物紹介に方向性を絞り、登録者数50万人を目前に控えるチャンネルへと進化した。再生回数も約100〜200万回を連発し、今注目のクリエイターとなっている。YouTubeは投稿してからすぐに数字で反応を知ることができるため、短いスパンでトライアンドエラーを繰り返すことができる。ヒットする動画を分析し、2度の方向転換をしたオールマイティ・ラボ。貪欲に数字を求めた結果、ここまでの成長を遂げることができたのではないだろうか。

皮肉と愛に溢れた解説が人気の秘訣

 筆者はオールマイティ・ラボの魅力は「着眼点」と「構成力の高さ」にあると考える。

 まず「着眼点」についてだが、オールマイティ・ラボの動画は、動物の頭の悪いところや間抜けなところに着目しているのが特徴だ。また、その欠点の紹介も斬新だ。たとえばこの動画では、ダチョウの欠点については「このアホみたいに爆走している動物」「奇跡的な頭の悪さ」「基本的に何も覚えられません」と、バッサリと言い切っている。全体的に解説は丁寧なのだが、ときどきぶっ込まれる切れ味のある言い回しに、思わずクスッと笑ってしまう。

 次に「構成力の高さ」についてだが、オールマイティ・ラボの動画はどれも1分半〜2分とかなり短尺だ。この短さで、100〜200万の再生数を生むのは至難の業である。尺が短いと視聴者が手軽に見てくれるというメリットもあるが、その分盛り込める情報量も限られる。だが、オールマイティ・ラボの動画は構成力が高いため、この短さでも十分満足できるおもしろさを生み出している。

 先ほどの「動物の欠点への着目」も、ただ欠点を解説しているだけの動画ではここまで再生されていないだろう。前半でとても丁寧にダチョウの生態を解説し、優れている点を語ったあとでキレのある欠点紹介による“落差”が、視聴者にウケている要因ではないだろうか。「丁寧な解説」と、「絶妙にパンチが効いた解説」のバランスが上手く取れていることによって、結果的に満足度の高い動画となっている。

 独自の視点から動物を解説するオールマイティ・ラボ。これからさらにファンを増やして活躍していく姿を楽しみにしたい。

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