『ディアブロ4』発売初週売上が6億6,600万ドルを突破 「ディアブロ」シリーズはなぜ人を夢中にさせるのか
「ディアブロ」の魅力は“やりこみの豊富さとやめどきのわからなさ”にあり
なぜ「ディアブロ」は人を夢中にさせるのか。その理由は、同シリーズが持つやりこみ要素の豊富さと、それらすべてによって構成された“やめどきのわからなさ”にこそ隠されている。
『ディアブロ4』には、あらゆるRPGに存在するレベルの概念のほか、武器や防具における数値・能力の変動性、アイテム全般のランダムドロップ、多様性を含んだスキルの選択と成長、レベルキャップ後の付加的なキャラクター育成と、さまざまなやりこみ要素が詰まっている。最初に挙げたレベルの概念以外はすべて、プレイヤーの運と取捨選択によって結果が異なってくるため、特にメインストーリーの攻略後は、「どれだけアイテムの収集に時間をかけられたか」「武器・防具とスキル、ステータスに一貫性を持たせるべく、創意・工夫をおこなえたか」がキャラクターの強さの肝となってくる。大きな自由度があるからこそ、思考と試行によってひとつずつ限界を突破していくことが、同タイトルの面白さの根幹だ。
こうしたプレイヤーの努力は、ダメージの数値のインフレ、敵の殲滅スピード、高難易度ダンジョンの攻略など、さまざまな形で結果として跳ね返ってくる。正しい方向性でアプローチを続けた者が報われるゲーム性はある種、アイテム課金型のモバイルゲームと対照的とも言えるかもしれない。
また、基本的に「ディアブロ」は、プレイヤーに時間的拘束を求めない。『ディアブロ4』において、もっとも長いステージであろうダンジョンの攻略であっても、その時間は10〜30分ほど。オートセーブにも対応しているため、いつでもプレイをやめられる仕様を持っている。こうした時間的拘束感のゆるさは、プレイヤーにとってきわめて逆効果だ。「いつでもやめられること」は、「常にやめどきがわからないこと」とほぼ同義であり、その沼にプレイヤーは例外なくハマっていく。これが同シリーズが持つ、(プレイヤーには良い意味で不親切な)中毒性である。
たとえば、ローグライク・カードゲームとして大きな成功を収めた『Slay the Spire』がそうであったように、「ディアブロ」もまた、張り巡らされたやりこみ要素と驚異的な中毒性を持った“時間泥棒的”作品なのだ。そこに同シリーズが人を夢中にさせる秘密があるような気がしてならない。
『ディアブロ4』は世の注目と期待に応えていけるか。前作と比較すれば、スタートは上々。総合的な評価はアップデートにかかっているともいえる。ハックアンドスラッシュ、さらにはオープンワールド・MMORPGの金字塔を目指す、同タイトルの今後に要注目だ。