スピンオフからシリーズ化 最新作発表を機に考える、「ドラクエモンスターズ」人気のワケ

人気の秘密は、愛くるしいキャラクターと独特の遊び心に

 「ドラクエモンスターズ」はなぜ、これほどまでにプレイヤーの心を掴むのか。その理由は、パーティー編成における自由度の高さ、配合システムの奥深さにある。

 「ドラクエモンスターズ」では基本的に、ゲーム中に登場するすべてのモンスターを仲間にできる。先述のとおり、彼らを育成・配合し、独自のパーティーを編成できる点が、同シリーズの大きな魅力だ。当然ながら、各モンスターには見た目やステータス、覚える特技・呪文など、それぞれに違いがある。その個性を踏まえ、パーティーを構成するメンバーにプレイヤーの思う役割を与えていくこともまた、「ドラクエモンスターズ」の醍醐味となっている。

 あるプレイヤーは、ストーリーをクリアするために合理化・最適化されたパーティーに、またあるプレイヤーは、通信対戦の場での最強だけを目指したパーティーに、なかには能力にはこだわらず、見た目や性格が好みの“最愛”のモンスターのみでパーティーを編成するプレイヤーもいる。同シリーズが支持される理由のひとつには、こうした千差万別の楽しみ方ができる懐の深さがある。

 また、配合システムの奥深さも、語っておかなくてはならない「ドラクエモンスターズ」の魅力だ。同シリーズには、旅の途中で仲間にしたモンスターを組み合わせ、まだ手に入れたことのない新たなモンスターを手に入れる仕組みが実装されている。これを活用すれば、いまだ出会っていないモンスターを一足飛びに加入させられるほか、繰り返すことでステータスの強化や特技・呪文の選別なども可能となる。先のパーティー編成の自由度を支えているのが同システムである、と言っても過言ではないだろう。最強パーティーの編成を目指すプレイヤーも、“最愛”パーティーの編成を目指すプレイヤーも、一様にこのシステムの恩恵を受けられる。その存在は「ドラクエモンスターズ」にとってのやりこみ要素のひとつにもなっている。「レベル1」「単騎」「特定の種族のみ」といった縛りプレイが成立するのもまた、この仕組みがあるからこそ。一方で、一部には「配合」自体を禁止としてしまう縛りプレイも存在する。「ドラクエモンスターズ」にさまざまな意味での奥深さをもたらしているのが、この配合システムというわけだ。

 「パーティー編成における自由度の高さ」「配合システムの奥深さ」という2つの要素に支えられた遊び方の豊富さによって、「ドラクエモンスターズ」は本家に匹敵するほどの人気を誇るスピンオフとなった。たとえるならば、前者がポケモン的な遊び心、後者がメガテン的な遊び心とも言えるのかもしれない。後発として両者の良さを踏まえながら、「ドラゴンクエスト」ならではのキャラクターアイコンであるモンスターたちをうまく活用したシリーズが「ドラクエモンスターズ」なのだ。

 「モンスターを仲間にする」という発想は「ドラゴンクエスト」にとって、1992年発売の『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』の成功から得たものでもある。ナンバリング第5作にあたる同作は、「仲間モンスター」の仕組みによってほかにはないアイデンティティを獲得し、シリーズ屈指の名作に数えられるまでとなった。

 待望の「ドラクエモンスターズ」最新作は、前作からの長い空白期間で膨らんだファンの大きな期待に応えられるか。詳細が発表されるのはしばらく先となりそう。それまでの時間を、「こんな作品にしてほしい!」といった話題に費やすのも一興かもしれない。

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