『ゼルダの伝説 TotK』を「買わない人たち」の視点から考える、彼らが“2023年屈指の話題作”をスルーする理由

 5月12日、『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』(以下、『ゼルダの伝説 TotK』)が発売を迎えた。

 2023年屈指の話題作として、発表時から話題をさらってきた同タイトル。リリースから1週間が経ち、少しずつ前評判に違わない売上・評価を獲得していることが明らかとなりつつある。

 一方、すべてのゲームフリークが購入に至っているかと言われれば、決してそういうわけではない。なぜ彼らはその存在を知りながらスルーする判断に至ったのか。買わない側のRPG・アドベンチャーゲーム観について考える。

前作から6年。満を持して登場した『ゼルダの伝説 TotK』

ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム 1st トレーラー

 『ゼルダの伝説 TotK』は、任天堂の人気シリーズ「ゼルダの伝説」から派生したオープンワールド・アクションアドベンチャーだ。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(2017年3月発売/以下、『ゼルダの伝説 BotW』)の続編にあたるタイトルで、プレイヤーはハイラルの地を舞台に、さまざまな能力・道具などを駆使しながら、ゼルダ姫の救出を目指す。

 『ゼルダの伝説 TotK』は2019年6月、任天堂の新作情報番組『Nintendo Direct E3 2019』内でその存在が明らかとなった。前作『ゼルダの伝説 BotW』が日本のみにとどまらず、世界中で高評価を獲得したことから、発表以来、話題を集めてきたが、当初2022年内に予定されていた発売日を2023年春に延期。ようやく念願のリリースを迎えた背景がある。

 発売から3日間における世界での販売本数は1,000万本に到達した。これは2022年11月にリリースされた『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』に並ぶ、記録的な数字だ。また、海外の著名なレビューサイト・Metacriticでは、100点満点中の96点という圧倒的な高評価を獲得。2023年にNintendo Switchで発売されたタイトルのなかではトップ、歴代の名作アクションゲームたちにも引けを取らないほどと査定されている。参考までに、前作『ゼルダの伝説 BotW』は、世界累計2,981万本・97点という結果を残している。現時点での売上・評価を見るかぎり、金字塔の続編にふさわしいスタートダッシュを切ったといえるだろう。

『ゼルダの伝説 TotK』の魅力を語るうえで外せない、自由度と創造性

ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム TVCM フィールド篇

 『ゼルダの伝説 TotK』はなぜプレイヤーの心を掴んで離さないのか。最大の魅力となっているのが、ゲームプレイに対する自由度の高さだ。

 オープンワールドゲームといえば、進行度にかかわらず、画面に映るあらゆる場所に移動でき、かつ、好きな順で攻略できる点が大きな特徴となっている。同タイトルでは、「スクラビルド」や「ウルトラハンド」、「モドレコ」、「トーレルーフ」といった特別な能力を活用することで、ジャンルならではの自由度を実現。一般的なRPG・アドベンチャーゲームでは辿り着けそうにない場所であっても、プレイヤーの発想力次第で最序盤から自由に攻略を進められる仕様を持つ。たとえば、フィールドに転がっている丸太同士をくっつけ、イカダをつくれば、広大な海を渡っていくことも可能。こうした遊び心は、『ゼルダの伝説 TotK』の魅力を語る上で欠かせない要素となっている。「プレイヤーそれぞれがゲームの世界で自由にフィールドワークをしている」そのような体験を与えてくれるのが、同タイトルなのだ。

 それはいわば、幼いころに誰もが経験した、「限られたおもちゃで新たな遊びを生み出す感覚」に似ているのかもしれない。スコップやバケツを使い、砂場でまだ見ぬなにかを作った経験。これまでにない設定でおままごとをした経験。誰もが大人になるなかで失ってしまった自由な発想での遊びを思い出させてくれるのが、『ゼルダの伝説 TotK』によるゲーム体験なのではないだろうか。SNSなどを賑わせる世界中のプレイヤーの遊び方も、こうした同タイトルの特徴が反映されたものとなっている。同タイトルが広く支持を集める理由は、この自由度と創造性にこそ眠っている。

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