2023.04.15 12:00

『VTuber最協決定戦』本戦は今日18時から！　今大会に“注目すべき理由”をその功績と共に語らせてほしい

文＝草野虹

国内の『Apex Legends』コミュニティを盛り上げた、印象に残る2つの大会

　『V最協』に限らず、数多くのゲーム大会において過去のeスポーツシーンからは考えられないような様々なスポンサーらが名乗りを上げ、その対象はカジュアル大会にも広がっている。こうした変化をもたらした要因の一つには、やはりコロナ禍が大きな影響としてあるだろう。

　コロナ禍によって多くの人の生活リズムやパターン、楽しむことのできる趣味が大きく変化した。その影響もあり、ゲームから離れてしまった元ゲーマー層だけでなく、今までゲームに興味が無かった層も「余暇時間を楽しむ」手段としてゲームやeスポーツに接するようになっていった。

　スマートフォンゲームやPCゲーム、コンシューマゲームなどプラットフォームにかかわらず様々な作品がヒットし、ゲーム業界が一気に盛り上がった数年でもあった。Nintendo Switchの『あつまれどうぶつの森』に始まり、それこそ『Apex Legends』などはその代表例に挙げられるだろう。この影響により、ゲーム配信者やストリーマー、そしてゲーム配信を主にするVTuberも大きな注目を集めるようになったのだ。

　eスポーツチーム「Crazy Raccoon」が主催する『CR Cup』は日本最大級の『Apex Legends』コミュニティ大会として知られているが、初開催は2020年8月29日の『Crazy Raccoon Cup Apex Legends』である。もともと「Crazy Racooon」は2019年1月から世界的人気ゲーム『Fortnite』を使った大会を開催していたが、当時日本国内で大きな支持を得ていた『Apex Legends』を大会種目として採用すると、同大会は大きく注目を集めることになった。

「第10回 Crazy Raccoon Cup Apex Legends」YouTubeライブ配信より

　CyberZ、テレビ朝日、エイベックス・エンタテイメントの3社が共同主催している『RAGE』など、ほかにも多数のコミュニティ大会が開催されているが、『V最協』が2020年8月2日に開催されていることを鑑みて、2020年夏ごろに人気を集めていたVTuber、配信者やストリーマーらがグっと集まったこの2大会は、日本において『Apex Legends』の人気を更に高めるキッカケになったようにも思う。

【APEX LEGENDS】#VTuber最協決定戦 ver. APEX LEGENDS【メイン会場】

　さて、コミュニティ大会・カジュアル大会の定義とはなんだろうか。「非営利かつ非公式の大会・トーナメントである」「あるゲームタイトルに特化している」「プロではなく、一般ゲーマーが中心」「参加者がとある領域やシーンからに限定されている」などさまざまに見立てることができる。

　『CR Cup』を見てみると、Crazy Raccoon所属メンバーを中心に交流のあるストリーマーやVTuberを招待するなど、クランコミュニティとしての色が強く、チーム選抜時にはゲーム内ランクに独自のポイントを割り振り、3人の合計値で上限を決めてチームメイトを集めるといった形である。

　現役のプロゲーマーはあまり参加せず、バランスが崩れないように調整するなど、最後まで誰が勝つか分からない拮抗した展開を生みだすための様々な取り決め・ルールは、まさにコミュニティ大会・カジュアル大会らしさを感じさせるところだ。

　『V最協』でもほぼ同じようなルールを設けているが、「出場者をVTuberシーン全体にフォーカスしている」「リスナー・ファン・視聴者との交流が図られている」といった違いでほかの大会とは一線を画している。

　第1回『VTuber最協決定戦』以降、これまで同大会は「最も協力する」とかいて「最協（さいきょう）」をコンセプトに掲げてきた。「3人の協力によるチームプレイ」だからこそ生まれる面白さ・難しさを、出場者3人（コーチスタッフも同じく）が受け入れつつ、配信内外で不断の努力を重ねて成長していく。そしてそれが生配信というノンフィクション性によってドラマティックに彩られることで、「出場チームすべてにドラマがある」とファンから評価されるほどの熱い熱量で注目されてきた。