グリーがVTuberマネジメント事業を会社化した理由 代表に聞く“シーンに感じた可能性”

旗揚げとして立ち上がった「FIRST STAGE PRODUCTION」 既存タレントとのシナジー形成にも期待

――そんななかで旗揚げとして立ち上げられた「FIRST STAGE PRODUCTION」ですが、7名のタレントはビジュアル含め、すでに打ち出されていますよね。この7名を初めのタレントとして選ぶにあたって、どういった方針で選ばれたのでしょうか?

杉山:この7名を選んだ際に大切にした軸は、タレントそれぞれに違った色を当てて、幅広いユーザーさんに好きになっていただこうということでした。具体的には、男性も女性も選出しよう、ゲームが得意な子は入れておこうなど、ここら辺は「絶対外せないよね」という部分をそれぞればらけさせて選びました。

天廻てん

――事務所としても今後複数展開していく中で、新たな展開を迎える際は別で事務所を立ち上げるのか、もしくは追加メンバーを同じ事務所に入れていくのか、どういった形を想定されていますか?

杉山:その両方です。FIRST STAGE PRODUCTIONの1期生に続く形で2期生のタレントオーディションを開催することをを3月31日に早速発表させていただきました。

【FIRST STAGE PRODUCTION】応募期間:4月1日~4月23日!第2期生タレントオーディション!

FIRST STAGE PRODUCTION、第2期生タレントオーディションを開催

 ぜひ、多くの方にご応募いただけると嬉しいです。今後も、3期生、4期生と継続的なメンバー追加を視野に入れて動いています。かつ、FIRST STAGE PRODUCTIONを含む既存のものと異なる事務所も、近いうちにお披露目にすると思います。

ーーまさに大規模な並列展開というわけですね。

杉山:そして、こうした展開をしていくうえでタレントのみなさんが心配することは、規模が大きくなればなるほど「自分たちに割かれるカロリーやアテンションが減っていくのではないか?」というところなんです。ただ、タレントに向き合っていけるマネージャーは今後もどんどん追加していくという構造になるので、そこには安心感を持っていただきたいですね。事業規模でみても、我々全体として投資を積極的にしていくフェーズですし、すぐにやめるつもりはありません。VTuber業界を振り返ると、ちょっと手を出してすぐ辞める、みたいなことも事例として多いじゃないですか。これは全くそういった構造ではないので、安心していただければと思います。

――同時にデビューするタレントさんたちが多ければ多いほど、良くも悪くも特定の子にファンが偏らず、事務所を引っ張っていくようなタレントが生まれないということも想定できるかと思います。そこがうまくいかず引いていくケースもある中で、どちらかというと長期的な展開を見据えてらっしゃるということですよね。

杉山:おっしゃる通りです。それから、展開についてはカラーの出し方をそれぞれの事務所に任せていきますし、同時に裁量も与えるので意思決定ラインもそれぞれ異なる形になります。たとえばFIRST STAGE PRODUCTIONの運営長が新事務所立ち上げの意思決定に関わってしまうと、絶対にカラーや手法が似てきてしまう。しかし、前提として意思決定ラインが全部分かれるので、各事務所によって色の出し方はだいぶ違ってくると思います。なのでファンの被り合いみたいなことは今のところあまり起こらない想定ではありますね。

――採用サイトに「VTuber事業『REALITY Studios』の海外VTuber事務所運営責任者」の募集も載せていらっしゃいますよね。そういった考え方の一つとして、海外向けの専門レーベルも置くという認識なんでしょうか?

杉山:そうですね。複数の事務所の並列展開と並行して、国内と海外を同時に立ち上げていくということも考えています。基本的にグローバルは各事務所ごとに行っていくというコンセプトですね。

――同じ事務所内に、国内部門と海外部門が存在すると。

杉山:おっしゃる通りです。海外部門を立ち上げる時期は地域によって異なってくると思いますが、国内にとどまらず、海外展開は前提として考えています。日本のVTuberを受け入れていく土壌はグローバルにも既にありますし、間違いなく拡大していく方向にはあるので。もちろん日本は大事な市場ではあるんですが、日本の人口1億人に対して、世界は70億、80億という世界になってくるので、そこに目を向けない理由はないかなと思っています。

――あとは元々いらっしゃったKMNZ、VESPERBELLといったタレントさんたちには、今回のグループ会社化を機にどんな影響がありそうでしょうか。

杉山:KMNZ、VESPERBELLに関しては、根本的な運営方針を積極的に変えるということではなく、今おこなっている取り組みを実直にやり続けて、ファンの皆さんを喜ばせていくことをしっかりとやっていこうと考えております。

未来図 (prod. by KOTONOHOUSE) / KMNZ LIZ, VESPERBELL カスカ [Official Music Video] #HARMONICSvol1

 そのうえで、グループ内でのコラボレーション、特にKMNZ、VESPERBELLは歌が中心になっているので音楽ライブを一緒に開催することも考えられますし、FIRST STAGE PRODUCTIONでも歌がうまいタレントが出てくると思います。そういったものをイベントで繋げていくというのは考えられますね。

――ある意味では、それがグループ化することでのメリットかもしれないですね。

杉山:おっしゃる通りですね。なのでKMNZ、VESPERBELLからすると、今向き合っているタレントマネージャー含め、大きく変えずに引き続きやりたいと思っていることを継続してやりつつ、横で動いていることで変化が起きたときに乗っかれる機会は絶対出てくるので。そういったプラスの変化は今後あり得るのかなと思いますね。

――最後に、ここまでお話いただいたこと以外で、REALITY Studiosとしてできること、やれることややりたいことがありましたらお聞かせいただけると幸いです。

杉山:先程グローバルのお話も出ましたが、我々が最終的に目指すところとしては、いろんな国、地域で我々のタレントが配信し、そこに喜んでくれているファンの方がいるという状態を実現することです。英語話者にとどまらず、国や地域を問わず、そこの方々がスマートフォンと配信プラットフォームアプリを開けばVTuberが見られる、という状態になれば理想ですね。そうやって楽しさやエンターテインメントを届けるのが我々のミッションだと考えています。

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