『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』は『ブレワイ』よりも定石のないゲームに? 新たな“能力”の数々など、最新情報から感じたこと

 3月28日、任天堂はYouTubeの自社公式チャンネルにて、5月12日に発売される予定の『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』(以下、TOK)の約13分に渡るプレイ映像を公開した。映像は事前に収録されたもので、本作のプロデューサーである青沼英二氏も登場し、動画内で判明した各種新要素についての解説も行われた。

プロデューサーの青沼英二がプレイする『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』

 本稿では、新たに公開された映像の中身を紹介していこう。

新たな能力でプレイスタイルの幅がさらに広がる

 動画は、馬にまたがってハイラルの大地を駆けるシーンから始まる。前作の『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(以下、BotW)と同様、広大な大地を移動できるようだ。それに加え、『TOK』では「空島」と呼ばれる宙に浮かぶ島々が追加されており、映像では空から落ちてきた岩を使って“空中へ上がっていく”リンクの姿が確認できた。

 これは「モドレコ」という新しい能力で、対象の時間を逆再生できるというもの。今回のシーンで言えば、上空から地上に落下するまでの時間を逆行させることで、落石をエレベーターのように活用したわけだ。映像ではモドレコを用いて空島に向かっていたが、青沼氏曰く、「空島へ行く方法は複数ある」らしい。

 空島に着いたところで、リンクが「ゴーレム」と呼ばれる敵と戦うシーンへ。この戦闘では付近で拾った木の枝を武器代わりに使っていたが、ゴーレムを倒し終えると木の枝と近くの岩を組み合わせ、即席のハンマーを作ってみせた。

 これがふたつ目の能力「スクラビルド」で、複数の素材を組み合わせて新しい物を生み出すことができる。応用の幅はかなり広いらしく、映像では矢と魔物の目を合わせて追尾性能を持った矢を作り、空を飛び回る鳥を撃ち落としていた。リーチの長い物同士を組み合わせ、リンクの3倍近くはある槍を作るシーンも印象的だった。

 場面は変わり、今度は広い池を渡るシーンへ。ここでリンクは丸太を3本くっつけて、イカダの基礎に作り変える。土台を作った後、今度は扇風機のような仕組みの機械を取り付けるとホバークラフトにも似た物を作り上げ、池を越えて見せた。これが3つ目の新能力である「ウルトラハンド」で、物体同士をくっつけたり外したりできるようだ。

 最後に披露されたのは「トーレルーフ」という能力。天井がある場所なら“どこでも通り抜けられる”らしく、映像では遺跡の天井をすり抜けたり、洞窟から雪山の丘に一気に移動する場面も確認できた。移動にかかる時間を短縮できるという点では、「RTA」(リアルタイムアタック)などにも応用が利きそうな力でもある。

 今回は新しい能力のお披露目がメインだったようで、4つの力を使ったシーンが終わると、リンクが空島から地上へ飛び降りるシーンを経て動画は終了した。

今回の動画でコメントを交えながら『TOK』をプレイした青沼氏

 本作『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』は、2017年に『BotW』が発売されて以来の続編となるわけだが、登場までに6年という長い期間が必要だったのもうなずける内容だった。新しい能力が加われれば、ゲームのバランスを保つためにも調整は欠かせない。とくにスクラビルドで作れる装備は、用意されているもの次第で膨大な数の組み合わせが考えられる。そのぶん敵の強さやギミックの仕組みにまつわるバランスは、とくに念入りにチェックしたはずだ。これだけで年単位の時間を費やしていた可能性すらある。

 動画の最後に、青沼氏は「プレイヤーが考える『できるかな?』が本当にできる作品になっている」とも語った。スクラビルドを始めとする新たな能力が追加された分、プレイヤーの数だけ攻略法があるような、そんな定石のないゲームに仕上がりそうだ。『BotW』でさえも序盤からラストダンジョンに挑める自由な作品だっただけに、本作の自由度は前作をゆうに超えてくるかもしれない。

 アイデアのひらめきや応用によって遊び方が広がっていくスタイルは、任天堂のゲームにおいて十八番ともいえる伝統だ。全世界で2000万本を売り上げた前作をベースにしている本作が、新たな要素を加えることでどれほどの広がりを見せていくのか。その全容は、本作を心待ちにしているプレイヤーたちの手で明らかになるだろう。

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