ビデオゲーム界に「大ガールズファッション時代」到来の兆し? 『ガルモ』のシンソフィア最新作『ファッションドリーマー』から考える

『ファッションドリーマー』、そして『インフィニティニキ』はゲーム業界の新たな潮流を作るか?

 シリーズを追いかけてきたファンならば、3DSよりも高精細なグラフィック表現で“自分だけのオシャレ”が楽しめる、Nintendo Switch向けの『ガールズモード』新作が発表される日を待ち望んでいたことだろう。そんな中で発表された『ファッションドリーマー』には、否が応にも大きな期待を寄せたくなる。

 もちろん『ガールズモード』シリーズと『ファッションドリーマー』には、明確なコンセプトの違いがある。プレイヤーの役割が“ショップ店員”から“インフルエンサー”に変わったのは、“オシャレを楽しめる職業”としての憧れの対象が移り変わったことも意味しているだろう。インフルエンサーが自分のセンスで情報発信していることや、それがほかの人々にも拡まっていくといった楽しさが、ソーシャルな要素を盛り込んだ新たなゲームデザインの創出に繋がっていることも見逃せない。

 仮想世界でオシャレをして、なりたい自分になること、そしてそれによって人との繋がりが生まれるといった点は、同じくシンソフィアが関わった女児向けアーケードゲーム『プリパラ』とも通じるところだ。個人的には『プリパラ』をはじめ、『プリティーシリーズ』のノウハウも本作に活かされるのではないかと楽しみにしている。

 Nintendo Switchではすでにガールズファッションをテーマとしたタイトルがいくつかリリースされているが、『ガールズモード』シリーズに比肩する、コアなゲームファンも夢中になれるような優れたゲームとして評判となったタイトルはまだ無いのが現状だ。『ファッションドリーマー』は、そうした期待を一身に受けるタイトルと言える。

 そして、同じく“ガールズファッション”がテーマでありながらも、誰も想像できなかったアプローチでコアゲーマーにも訴求する進化を遂げようとしているタイトルが、2022年に発表されたことを覚えているだろうか? そう、オープンワールド着せ替えアドベンチャーゲーム『インフィニティニキ』である。

【インフィニティニキ】ティザーPV

 『ニキ』シリーズはこれまでスマートフォン向けアプリゲームとして展開されており、中国でのヒット後、日本でも女性向け着せ替えゲームのファンに浸透していった。文明の崩壊にコーデの力で立ち向かうといった、意外に殺伐とした世界観も話題となってきたが、それでもこれまでのシリーズでのゲームシステムの中心はファッションアイテムを集め、“着せ替え”を楽しむという要素にあった。

 しかし、シリーズ6作目となる『インフィニティニキ』では、主人公「ニキ」がコーデによってさまざまな”力”を手に入れ、これを駆使してオープンワールドを冒険していくという驚きのコンセプトが取り入れられるという。対応機種もスマートフォンだけでなくプレイステーション系ハードやPCでも展開予定とのことで、『原神』のような展開を想定したタイトルになるのではないかと推測できる。

 IGNのインタビューによれば、本作の開発には『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のゲームデザインを担当したスタッフが、サブディレクターとして参加している。オープンワールドならではの魅力に、着せ替え要素をしっかり落とし込んだゲームデザインを期待して良さそうだ。

〈出典:着せ替え×オープンワールドはどのようなゲームなのか!? 『インフィニティニキ』開発者インタビュー

 発表と共に公開されたティザーPVはゲームのコンセプトを示すものであり、開発にはもう少し時間が掛かることが予想される。しかし、ガールズファッションをテーマとしたゲームのファンとしても、オープンワールドの新たな可能性を示す一作としても、注目すべきタイトルになるのは間違いない。

 『ファッションドリーマー』と『インフィニティニキ』、“ガールズファッション”をテーマとしたタイトルが2作、ライト層だけでなくコアゲーマーを含む多くのゲームファンを大いに期待させ発売を控えている現在の状況は、ビデオゲーム史が始まって以来、初めてのことだろう。リアルなファッション・コミュニケーションを志向する『ファッションドリーマー』と、ファンタジックな“カワイイ”を追求し、オープンワールドの冒険と組み合わせた『インフィニティニキ』、まったく異なるコンセプトのゲームであることも、興味深い。

 この2タイトルが成功を収めれば、さらに多様な“ガールズファッション”が題材のゲームが生まれる可能性も大きくなってくるはず。“オープンワールド”や“VR”、“バトルロイヤル”などと同様、ビデオゲームの潮流を指し示すキーワードとして“ガールズファッション”が世界を席巻する日は、近いのかもしれない。

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