約3年ぶり開催の『FFXIV』オーケストラコンサート2022レポ 全21曲でよみがえった、光の戦士たちの冒険の軌跡

 会場ではさまざまなグッズが販売され、なかでも「フラワーライト(エルピスの花)」は、「暁月のフィナーレ」の感動のシーンと関わりがあることもあって、多くのファンが購入していたようだ。「Close in the Distance」から「Flow」の流れは、そのフラワーライトを使った演出によって、会場が一つとなった。ゆったりと空気が流れるようなサウンドに、ジェイソンの深みのあるボーカルが重なる「Close in the Distance」。指揮者・栗田の合図で、客席にフラワーライトが少しずつ点灯されていく。「Flow」では、ふれればすぐに崩れてしまいそうな、繊細なボーカルを聴かせたアマンダ。最後にはエルピスの花が会場を埋め尽くし、神秘的で美しい光景が目の前に広がった。それを観た祖堅は「『Flow』を作って良かった〜」と一言。

 吉田Pは、新生『FFXIV』が来年は10周年を迎えることにもふれ、「こんなに遠くまで来られるとは思っていなかった。ここまで歩ませてくれたのは、光の戦士のみんなのおかげです」。祖堅は「こういうコンサートがまたできるように、もっとゲームを楽しんでください」と、それぞれコメントした。

 アンコールは、「FF」シリーズのメインテーマによって、勇ましく勇敢な光の戦士たちをたたえる「そして世界へ」と、熱い思いを重厚なサウンドに乗せた「終焉の戦い」を披露。「終焉の戦い」は撮影OKとなり、観客はこの日の思い出を少しでも残すべくステージにスマホカメラを向けた。

 かねてより祖堅は、音楽によって『FFXIV』での経験を追体験してほしいと語っている。THE PRIMALSのライブが熱いバトルを追体験するものだとすれば、オーケストラコンサートは感動場面の追体験だろう。ビジョンに映し出されたゲームの映像と、臨場感たっぷりに繰り広げられたフルオーケストラのサウンド。ゲームの感動がよみがえり、涙しながら鑑賞していた観客も非常に多かったのが印象的だ。また2023年4月26日には、この日のアレンジで『FFXIV』の名曲を収録した、アルバム『Eorzean Symphony: FINAL FANTASY XIV ORCHESTRAL ALBUM Vol.3』をBlu-ray Discでリリース。まだまだ終わることのない『FFXIV』の冒険の旅。心を震わせる楽曲の数々が、光の戦士たちを新たな世界へと送り出してくれた。

 最後に本公演を終えての、主催者(祖堅と吉田P)からのコメントを紹介する。

■ファイナルファンタジーXIV サウンドディレクター 祖堅正慶
Q. コンサート、全4公演終えての感想をお願いします。

 『新生エオルゼア』発売からの約9年間、意外と光の戦士たちの心に刺さる音楽を作れていたかもしれないな、という実感がわきました。こういう興行はいいですね。ゲームは海外ではわりとエンターテインメントとしての地位を確立しているけど、日本ではまだ「ゲームなんかやって...」というような風潮があると思います。でも、僕はゲームというエンターテインメントは素晴らしいと思っていて、自信があるし自慢でもある。コミュニティも凄いですし。今回のオーケストラコンサートではゲームというエンターテインメントの無限の可能性を見ることができたし、そのなかでもサウンドが表現できることの素晴らしさも改めて感じました。

 あと、自分で言っちゃいけないかもしれませんが、自分たちが作った『ファイナルファンタジーXIV(以下、FFXIV)』はいいゲームなんじゃないか、という気がしました。(笑)もちろん、いいゲームを作っているつもりでいつも奮闘しているわけですが、改めてこうしてお客さんと対面できて、同じ空間を共有して、音楽を共通キーワードとしてやりとりしたつもりです。それで、光の戦士たちが心を動かして、感動して、泣いている姿を見て、「FFXIVのサウンドを作ってきてよかったな」と改めて思いました。

Q. 観客のリアクションは、どこからか見ていたのですか?

 公演が始まったら、最初に舞台袖からオーケストラ奏者や合唱、指揮の栗田さんたちをステージに送り出すのですが、その後にはダッシュでPAブースに行って音をチェックしていました。今回の会場は4階層あったので、演奏が始まったらそれぞれの階でチェックして、どこをどう調整したいかを逐次、PAさんにフィードバックする。そのときにお客さんの顔が見えるんですよね。そのお客さんの顔が、早くも2曲目から......1曲目はお客さんを見る余裕もないですが、2曲目から感極まって泣いている方がいらっしゃるのを見ると、心を動かせたのかな、という気持ちになりました。

 仕事として頑張るのは当たり前ですが、「ゲームサウンドを介して人の心を動かせた」という結果に、今度はこちらが感動する。そういった2日間でした。得るものがあったので、これをまたゲームサウンドに活かしていこうと思います。そしたらまたさらにいいゲームになるんじゃないかなと思いつつ、精進するしかないですね(笑)これからも、いいゲームサウンドを届けられるよう頑張ります!

■ファイナルファンタジーXIV プロデューサー兼ディレクター 吉田直樹

Q. 公演を終えての感想を教えてください。

 まずは「ほっとした」というのが大きいです。今回は曲数をかなり詰め込ませてもらったのですが、時間には限りがあるのでMCの時間を延ばせないと厳密に言われていました。一方で、オーケストラコンサートが初めてで緊張している方も多くいらっしゃるので、そこを「いつものFFXIV、いつものエオルゼアだよ。リラックスして聴いて、思い思い楽しめばいいんだよ」というところに繋げられるようにしたい。僕は司会業が本業ではないし、そこが難しいところで......終わった直後の感想はというと「ほっとしました」という一言です。

Q. 久々の有観客でのオーケストラコンサートでしたが、いかがでしたか?

 各公演の開演前にちょっと舞台袖から顔を出して、来場者の皆さんとアイコンタクトしたり手を振ったりして、変な話、お互いが実在するというのを確認しながらオケコンに臨めたというのはすごくよかったと思います。多くのスタッフもコンサートを聴きながら自分たちがやってきたことの足跡や歩みみたいなものを、『新生エオルゼア』から改めて振り返ることができたと思います。そこは僕も含めて開発・運営チームにとって物凄くよかったですし、これほど多くの光の戦士を見られたことは明日からの活力になったと思います。

■公演概要
・イベント名:FINAL FANTASY XIV ORCHESTRA CONCERT 2022 -Eorzean Symphony-
・日時:2022年12月17日(土)、2022年12月18日(日)計4公演
・動員数:2万5千人
・会場:東京ガーデンシアター
・指揮:栗田 博文
・演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
・公式サイト:https://www.finalfantasyxiv.com/eorzean_symphony2022/

 なお、2023年4月26日には本公演の楽曲や映像を収録したアルバムが発売。価格は税込6,600円となっており、ゲーム内で使用できる「オーケストリオン譜」が2曲分ついてくる。また店頭で購入すると先着でオリジナルステッカーやビジュアルシートももらえるので、早めにチェックしておこう。

■『Eorzean Symphony: FINAL FANTASY XIV ORCHESTRAL ALBUM Vol. 3』商品概要
・発売日:2023年4月26日(水)
・品番:SQEX-20090
・価格:¥6,600(税抜 ¥6,000)
・仕様:Blu-ray Disc 1枚 / 特装デジパック仕様
・封入特典:オーケストリオン譜2曲分 インゲームアイテムコード
 オーケストリオン譜:To the Edge(Orchestral)
 オーケストリオン譜:Flow(Orchestral)
・早期購入特典:「オリジナルステッカー」、「ビジュアルシート」
・発売元:株式会社スクウェア・エニックス
・商品HP:https://www.jp.square-enix.com/music/sem/page/ff14/concert/2022/bdm/

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