メタバースでのハラスメントに関する実態が明らかに 世界初の大規模調査レポート「メタバースでのハラスメント」公開

 スイスの人類学者「ミラ(リュドミラ・ブレディキナ)」とメタバース文化エバンジェリスト「バーチャル美少女ねむ」は11月8日、「メタバースでのハラスメント」に関するレポートを公開した。

 同レポートは急速なユーザー数の増加により注目が集まる仮想空間「メタバース」でのハラスメントの実態を明らかにするため、全世界のソーシャルVRユーザーを対象に行った大規模調査への回答約900件を分析したもの。VRならではのハラスメントの種類や強度・経験率・物理世界とメタバース双方の生活に与える影響、そして法律やプラットフォームへのユーザー要望等が克明にまとめられている。

 さらに、昨年同チームが実施した生活実態調査「ソーシャルVR国勢調査2021」と比較したこの一年間でのメタバースにおけるユーザー動向の変化もまとめられた、60ページを超える壮大な内容だ。

 レポートでは、メタバースでのハラスメントは存在し、半数のユーザーが経験していることが明らかになった。また、バーチャル空間内の出来事ではあるが、VRの没入性の高さにより、ユーザーはハラスメントを「リアル」に感じていることもわかった。

 性的ハラスメントが最も多く、女性型アバターを使用している男性も被害に遭いやすくなるなど、メタバース特有の特徴も見られている。程度としては「軽い」「中程度」がほとんどだが、状況やユーザーの特性(セクシャリティ・マイノリティなど)によっては「極めて重大」なものにもなりうるとのこと。

 法律やプラットフォーマーに対しては、多くのユーザーがメタバースの自由に制限が加えられることに対する大きな懸念があることもわかった。その一方、より柔軟な安全コントロールやガイドライン・モデレーションの充実を求める声も多く、物理現実世界と同様に、お互いに思いやりを持ち、相手の立場に立って考え行動することがなにより大事になってくるだろう。

■調査内容
「メタバースでのハラスメント」について
目的:ソーシャルVRにおけるハラスメントの実態を調査するため
対象:VRヘッドマウントディスプレイを用いて、ソーシャルVR(VRChat、Rec Room、Neos VRなど)を直近1年以内に5回以上使ったユーザーで、英語もしくは日本語話者の方(デスクトップ・スマホからのみの利用者は今回は対象外)
方法:2022年9月5日~9月24日、Googleフォームによる公開アンケート
募集:日英仏3カ国語でプレスリリースを発行し世界中のメディアに送付。各種メタバース関連団体の力を借りて拡散。
公式サポーター:NPO法人バーチャルライツ、PANORA、メタカル最前線、株式会社ブイノス
回答数:876件
レポート形式:pdf、日英バイリンガル、62ページ
レポート公開ポータルサイト:
(日本語版)  https://note.com/nemchan_nel/n/n60fd28b43b3a
(英語版)  https://note.com/nemchan_nel/n/n06ae98801402

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