飛び出すガンダムマンガ!? ミニチュアメカモデルの新たな魅せ方

 近頃の情勢で巣籠もり中の趣味としてプラモデルなどのモノづくり系ホビーが人気となっている。中でもガンプラはこれまでの人気からさらに多くの新規ファンが増えた印象だ。

 今回紹介するのはRAY STUDIOチャンネル。こちらの投稿者はガンプラをメインとしたコンテストで優勝経験もある方。チャンネルでは美しい映像とテンポの良い構成で多彩な工作スキルを駆使しコツコツとモノづくりを行う楽しさや、「組み合わせアイディア」で作品を魅せるアイデアを感じることができるだろう。

 メカキャラクターフィギュアと漫画の世界の「組み合わせアイディア」で魅せる動画を紹介。180日をかけたというこちらの大型プロジェクト、何と仕掛け絵本のように漫画本のコマからガンダムのジオラマモデルが出てくる作品を作るというものなのだ。

180 days HAND-MADE! Not only a ELECTRIC GARAGE! I build a GUNDAM WORLD!

 メタルシートから切り出して作り上げるガンダムの胴体部分モデルをベースに構築していく。切り出し、曲げ加工などをして組み上げていくプラモデルともペーパークラフトとも少し違った特殊なキット。このモデルは金属の質感がしっかりと出ており、そのまま組み上げていっても凄まじいディテール・情報量をスケールモデルとして再現できるようだ。

 しかし今回の作品はこれだけではない。なんとこのモデルを使い、マンガの風景を、「マンガ本のカタチで」再現するのだ。

 まずはイラストでイメージを決めていくと同時に表紙画を制作、コンピューター上で3D→2Dでの設計を行い図面をプリントアウト、これをもとにパーツを切り出してほぼ一から建物などの風景を組み上げていき、ジオラマ(風景モデル作品)をつくり上げるという流れのようだ。多彩なスキルを組み合わせ、活用することがクオリティの高い作品づくりに繋がっていることがこの時点でよく分かる。

 動画で出ているように凄まじい量の平面的なパーツを接着・組付けしていくことで立体的なガレージとなっていく。気の遠くなるような手間や工程をかけて自分のイメージしたものを実現していくのが見て取れる。壁のパネルひとつを見てもクロスしている補強バーや固定ピンのような細かなパーツひとつひとつを組み合わせて構成していることで“本物感”が出ている。

 そしてタンスのようなボックスを作り、その中にジオラマ作品を入れていく。まるで映画のセットのような奥の深い世界観。ここでさらに電気的な仕掛けの工作も行い、電動可動の作業用アームのような物も作り上げる。単なる風景作品ではなく“動き”も取り入れられた。また、本物のガレージさながらの電灯も作成。小さなスケールにもかかわらず本物のような発光の仕組みになっている。これら電気的な仕掛けはうまくジオラマに溶け込むように『隠す部分』はパーツ内に収めて見えないようにしているようだ。

 さらに、劇中のキャラクターをコンピューター上で3Dモデルにし、3Dプリンターと思われる成形機で実際のフィギュアに成形ということも行っている。

 塗装も膨大なパーツの量と細かさでかなりのスキルが要求されそうだ。地面やそこから生える植物、家屋を作り、これまでのパーツを塗装、配置や組付けを行い完成させていく。ウェザリングと呼ばれる汚し塗装も実にリアルだ。

 いよいよ完成。外側はマンガ本が横並びになっているような外観となっている。内側を開くとページをめくるような構成になっており、しかけ絵本のようにコマを開くとそこからジオラマモデルが出現するようになっている。まるでマンガのひとコマが立体となり現実に生きて飛び出てくるようでとても面白い仕掛けだ。ぜひ実際に当動画を見で楽しんでほしい。キャラクターが秘密の扉をくぐると場面展開としてジオラマが回転、秘密部屋に移動するシーンが再現されている。ストーリーのドキドキ感を立体的に感じられるような面白い仕掛けだ。

 ガンダムモデルとジオラマをしかけマンガ本と組み合わせたようなとても面白い試みだ。

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