『アサシンクリード オリジンズ』5周年 紀元前のエジプトを舞台としたシリーズの転換点

 『アサシンクリード オリジンズ』は、2022年10月27日に発売5周年を迎える。本作は、長らくステルスアクションとして歩みを進めてきた「アサシンクリード」の転換点となった、シリーズ中でもきわめて重要なタイトルである。今回は5周年を機に、本作がどのようなゲームだったのかを振り返ってみよう。

ジャンルの変化 - ステルスアクションからアクションRPGへ

 本作は、2017年10月27日にユービーアイソフトより発売されたオープンワールドアクションRPGだ。紀元前のエジプトを舞台としており、最愛の息子を殺されたバエクの復讐劇を描きながら「アサシン教団」のルーツを探る物語となっている。

 最大の特徴は、前作までとメインの遊びが大きく異なる点。具体的には、従来の「アサシンクリード」シリーズではステルスアクションによる攻略がメインだったが、本作は主人公が豪快に戦うアクションRPGとなっている。    

 たとえば、過去作の戦闘は敵の攻撃に合わせてカウンターを狙うのが主流だった。しかし本作では威力は低いが隙の小さい弱攻撃、隙が大きい代わりに敵のガードを弾ける強攻撃といった使い分けが可能に。

 また、敵を攻撃すると蓄積される「アドレナリン」というゲージも追加され、これを消費することで武器ごとの大技である「オーバーパワー」を繰り出せる。総じて、戦闘面は『ウィッチャー3』のような操作感になった印象が強い。

 さらに、本作では武器を収集するハクスラ的な要素も登場。近接武器には片手剣、双剣、杖、槍などがあり、遠距離武器も連射可能な「軽装の弓」、スナイパーライフルのような使い方ができる「捕食者の弓」などさまざまな種類が用意されている。

 育成面では、過去作にはなかったレベル制やスキルツリーシステムを導入。敵を倒したりクエストをクリアしたりして経験値を貯めるとレベルアップでき、その結果スキルツリーで戦闘に役立つスキルを習得できるなど、戦闘以外の部分でもアクションRPG的な要素が見られる。

古代のエジプトを再現したオープンワールドには資料的価値も

 本作ではプトレマイオス朝末期の古代エジプトがとても細かく再現されており、ただ散策するだけでも楽しいゲームに仕上がっている。

 たとえば、エジプトの代名詞でもあるピラミッドも内部の再現度が高く、冒険心を大いにくすぐられた。そのほか、現代では失われたアレクサンドリア図書館などの建築物が再現されているのも見どころのひとつ。広大な砂漠や、ナイル川下流域などのロケーションも見応え抜群だ。

 そして、そんなフィールドの出来栄えをさらに魅力的にしてくれるのが、ゲーム内マップの散策に特化した「ディスカバリーツアー」である。本モードでは戦闘ができない代わりに、当時のエジプトの政治、学問、農業などの解説を聞きながらオープンワールドの探索が可能。

 「ディスカバリーツアー」で特に興味を惹かれたのは、農業の解説だった。例として、当時の灌漑で使用されていた水を汲むための道具「シャドゥーフ」などは、その機構を再現したアセットが農村に配置されていた。このように当時のエジプトの暮らしまでもを忠実に表現していることから、本作には歴史の資料的価値もあると言えるだろう。

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