3年で撤退のGoogle『Stadia』 クラウドゲーミングは“砂上の楼閣”だったのか

 米・Googleは9月30日、クラウドゲーミングサービス『Stadia』の提供を、2023年1月18日をもって終了すると発表した。

 同文化の草分け的サービスのひとつとして、ローンチ時から注目を集めてきたGoogle『Stadia』。日本への上陸を果たすことなく訪れてしまった市場からの撤退は、クラウドゲーミング全体にどのような影響をもたらすのだろうか。今後の展開を考える。

わずか3年で市場から撤退。動向に注目が集まっていたGoogle『Stadia』

 『Stadia』は、米・Googleが提供するクラウドゲーミングサービスだ。2019年11月、欧米14か国(※)にてローンチ。AAAタイトルからインディーゲームまで、幅広いタイトルに対応してきた。基本の利用料金は月額9.99ドルのサブスクリプション制。2020年4月には、気に入ったタイトルのみを購入して遊ぶフリープランも導入された。

 一方で2022年7月には、夏いっぱいを目処に終了するとの噂が流れたが、公式Twitterはフォロワーの質問に答える形で正式に否定。しかしその後も、米・ニューヨークにあるGoogle社のリアル店舗から同サービスの体験ルームが撤去されるなど、結果的には撤退まで段階を踏んできたことになる。

 Googleはサービス終了の決断に至った理由を「期待したほど支持が得られなかったこと」としている。ローンチ当初から日本での提供が待たれていたが、いよいよ国内には上陸することなく、市場からの撤退が決まった。

 クラウドゲーミングをめぐっては2010年代後半以降、NVIDIAの『GeForce NOW』や、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの『PlayStation Now』(現在は『PlayStation Plus プレミアム』の一部)など、各社からさまざまなサービスが登場している。2021年10月には、『Stadia』や『GeForce NOW』とともに草創期を牽引してきたMicrosoftの『Xbox Game Pass』が、日本国内での提供をスタートさせた。

※アメリカ、カナダ、イングランド、アイルランド、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、オランダ、ベルギー、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの14か国。

キーパーソンの撤退で、クラウドゲーミング市場はどうなる?

 今回の報道に対する反応のなかで目立っていたのは、「クラウドゲーミングはやはり一般化しない」という意見だった。今後の発展が期待される同市場。キーパーソンの撤退により、クラウドゲーミングは世に浸透せず、衰退の道を辿ってしまうのだろうか。

 私はそうは思わない。なぜなら、これまで新たなカルチャーが定着に向かうときには、段階のひとつに“先駆者の低迷・撤退”というフェーズが訪れてきたからだ。

 たとえば、おなじゲーム分野のなかで考えるならば、1990年代、セガ・エンタープライゼス(現セガ)からローンチされた2つのハード『セガサターン』『ドリームキャスト』の存在がわかりやすい。当時は、ソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)から発売された『PlayStation』と双璧をなすゲーム機として、一目置かれていた両機。しかし、『PlayStation』や『NINTENDO64』などとのシェア争いにおける敗北によって、2001年、セガはゲーム機の開発・販売から撤退している。しかしながら、このセガの挑戦がその後のゲーム分野の発展に不必要だったかと言われれば、決してそうではない。そうした競争のなかで、より洗練された商品・サービスが生まれ、現代までバトンがつながってきたからだ。

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