『スターフォックスアドベンチャー』発売20周年 シリーズでも異色の“恐竜アドベンチャー”を振り返る

 ゲームキューブ用アクションアドベンチャーゲーム『スターフォックスアドベンチャー』は、2022年9月27日に発売20周年を迎える。本作は、『スターフォックス』の名を冠していながら『ゼルダの伝説』のような謎解き要素が強いアクションゲームであり、シリーズでも異色の作品となっている。今回は、20周年を記念して『スターフォックスアドベンチャー』がどんな作品だったのか振り返ってみよう。

『スターフォックス』でありながら謎解きや近接戦闘をメインに据えた異色のタイトル

 『スターフォックスアドベンチャー』は、2002年9月27日に任天堂から発売されたゲームキューブ用アクションアドベンチャーゲームである。開発は『スーパードンキーコング』や『バンジョーとカズーイの大冒険』など数々のヒット作を手掛けたレア社が担当した。しかし、本作のリリース後に任天堂とレア社の提携が切られてしまっているため、奇しくも『スターフォックスアドベンチャー』は任天堂・レア社タッグからリリースされた最後のタイトルとなっている。

 また、本作は『スターフォックス』シリーズの一つではあるものの、その内容はシリーズ中でもかなり特異なものとなっている。

 まず、本作の舞台となるのは、恐竜たちが棲み、古代の宮殿などの建造物が残るダイナソープラネットだ。この原始的な惑星の調査を命じられたフォックスは、そこで見つけた「クリスタルスタッフ」という杖を手に、各地で起きている異変について調査を始める。ダイナソープラネットには古代の宮殿をはじめとしたさまざまな謎解き要素が散りばめられており、クリスタルスタッフを駆使して謎を解いたり、恐竜たちと戦ったりというゲームデザインが特徴だ。

 しかしながら、そもそも『スターフォックス』シリーズは「アーウィン」をはじめとする戦闘機のシューティングをメインに据えたSF作品群である。一方、『スターフォックスアドベンチャー』には銃火器が登場せず、クリスタルスタッフによる近接戦闘がメインになっている。また、謎解き要素がふんだんに盛り込まれた『ゼルダの伝説』のようなゲームデザインも、『スターフォックス』シリーズとしては珍しい要素だ。

 このような異色のタイトルとなった背景には、本作がもともと『ダイナソープラネット』というNINTENDO 64向けの新規IPとして開発されていたという経緯がある。しかし、開発が長期化し、本作のプラットフォームをゲームキューブに移行する際に『スターフォックス』のキャラクターを登場させることが決定したのである。もともと『スターフォックス』シリーズとして開発されていなかった背景から、本作はシリーズ中でもかなり風変わりタイトルといえるだろう。

『ゼルダ』ライクのゲームとしてはなかなかの完成度を誇る

 本作は『スターフォックス』シリーズの一つとして見ればかなり異質な作品だが、『ゼルダの伝説』のフォロワータイトルとしては高い完成度を誇る。

 まず評価したいのは、いま見ても色褪せない美しいグラフィックだ。フォックスのふさふさとした体毛、恐竜の鱗の質感、水辺の表現などは見事で、ゲームキューブ初期に発売されたタイトルの中では間違いなくトップクラスのクオリティである。変化に富んだフィールドも魅力的で、高精細なグラフィックで描かれた緑豊かな草原や雪山、海など多彩なロケーションを楽しめる。景色が良さも手伝い、探索が非常に楽しいゲームだった。

 また、謎解き要素も魅力的だ。本作では、「クリスタルスタッフ」から繰り出す魔法が、『ゼルダの伝説』でいうところのダンジョンアイテムに相当する。クリスタルスタッフから火の玉を撃ち出して燭台に火を灯すといった謎解きは、いかにも『ゼルダ』を彷彿とさせるシステムだ。それに加え、本作ではフォックスの相棒となる恐竜「トリッキー」と協力して謎解きをするシーンもある。トリッキーに地面を掘らせたり、床にあるスイッチを押させたりといった要素は本作ならではのもので、『ゼルダ』に慣れ親しんだ人にも新鮮に映るだろう。

 さらに、クリスタルスタッフによる戦闘も面白い。クリスタルスタッフは、方向スティックの入力によってさまざまなコンボを繰り出すことができる。その中には、杖による打撃と魔法を組み合わせたようなコンボもあり、多彩な戦闘が楽しめる。

 登場キャラクターたちもじつに魅力的だ。フォックスの相棒となるいたずら好きの恐竜「トリッキー」は可愛らしく、プレイヤーにとっても愛着が湧きやすいキャラクターだ。その他にも、手土産を持っていかないと喋ってもくれないものの意外と優しいところもある「ワープ魔人」、値段交渉ができるものの、しつこく値切ると冷たい態度を取ってくる商人「シャブンガ」など、印象的なキャラクターが多い。

関連記事