自由で繊細なトリックスター・花畑チャイカが通す「エンタメの筋」

 自由気ままな言動を配信などで見せてくる花畑チャイカ。彼がにじさんじ内の公式番組で多く起用され、「基本、チャイカを入れておけば面白くなる」とまで評される彼について、共演している面々や同僚らから「花畑チャイカは真面目」と評する声もある。

 誰よりも台本を読み込んで「一連の流れ」を事前につかんでおく(「台本なんてすぐに破り捨ててる」と本人は否定している)、下ネタが苦手・嫌いな人には話題に出さない、配信内で悪ノリがすぎる空気になると自分の意見や考えをピシャリと伝える、自身の言動が出過ぎてしまったときには自己反省を欠かさないなど、自由かつ攻撃的な言動でリスナーや共演相手をも笑わせることの裏には、強い自己コントロール力が垣間見える。

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 自由な振る舞いの裏に真面目さがある。そんなことも影響してか、どことなく不憫さが引き立って見えることも多い。狂言を吐いたりぶっきらぼうな言葉遣いをみて「怖い」と感じられていたり、ゲームを持ってきてもメモリーカードを忘れてしまったり(逆パターンをしたこともある)、共演者やスタッフからの思わぬ一言でスっと我に返ったりと、配信上でも「不憫なチャイカ」を見かけることは多々ある。

 こういったミスやマイナスイメージを冗談めかして笑い飛ばしても、どこか「でも裏で泣いているんじゃ……?」と感じさせてしまう。強面なビジュアル・スタンスがゆえのギャップ・かわいらしさもまた、彼の魅力のひとつになり始めている。

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 彼の真面目さを知れるのは、じつは彼のTwitterにある。Twitterでは自分のファンアート以外にも、ほかのにじさんじタレントのファンアートにも積極的に「いいね」しているのだ。時にはファンアートのタグがついていないものにも「いいね」をしていることもあるほどで、ほかのにじさんじタレントらからも「見つけたファンアートにチャイカがいいねしている」と話題に上がるほどだ。

 真面目な彼だからこそ、悔しさを滲ませる姿もハッキリと示すこともある。たとえば昨年開催された『にじさんじ AR STAGE "LIGHT UP TONES"』での一幕。

 初日に出演した花畑だったが、この日共演したのが樋口楓、緑仙、町田ちま、ジョー・力一、夢追翔、レヴィ・エリファ、加賀美ハヤトとにじさんじの中でもトップクラスに歌唱力がある面々だ。

「今回でライブに出るのを辞めようと思ったんだよね。次の依頼が来ても断ろうと思った」

「ほかのみんなが歌うますぎて心が折れたわけじゃないんだけども、歌の練習をしても『わたし……歌が下手……?』って思ってスランプになってた」

「ハモリを録ろうとしてもうまくいかなくて、『やめだやめ!もう嫌だ!』って心が折れた。結果的にはライブではああなった」

 振り返り配信でこのように語った花畑。ライブ最後のMCでいつもの落ち着いた口調ではなく、感情昂ぶった口調でこう話したのだ。

「正直、みんなに比べて歌は上手くないけどみんなで歌えて楽しかったし、また歌いたい! もっと練習して上手くなってまた歌います!」

 ライブ中にはおしりを見せつけるなどの茶目っ気を見せていた彼だが、音楽を通して挫折にも近い感覚で本ライブに臨み、ライブをしている自分自身が音楽に救われたのだ。

花畑チャイカとにじさんじ AR STAGE "LIGHT UP TONES"振り返り配信みんなありがとう #リアルタイムARライブ

 あの手この手で笑わせようと頑張ってみせるのも、グレーゾーンにブラックユーモアを突き付けるのも厭わないのも、努力するがゆえに落ち込みやすく悔しさを滲ませるのも、ひとえに彼が真面目な性分があってこそだ。にじさんじにカオスを持ち込み、正しくコントロールして面白く仕上げてみせる。彼のパーソナリティとスタイルは、今後のにじさんじでも大きな存在感を放つであろう。

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