『デッドバイデイライト・モバイル』と『Identity V』近しいゲームだが、調査で分かった明確な違いとは

 株式会社ゲームエイジ総研は、自社が運用するマーケティングデータサービス「iGage(アイゲージ)」を用いて、2022年4月8日に配信が開始された『Dead by Daylight』のモバイル版『デッドバイデイライト・モバイル』と、ゲームシステムがよく似た『Identity V/第五人格』と比較したレポートを発表した。

アクティブユーザーを比較

 『デッドバイデイライト・モバイル』が配信された後のデイリーアクティブユーザー数(以下DAU)を見てみると配信開始日である4月28日は13.73万人、集計期間内で最もDAU が多かったのは2日目の4月29日で15.25万人を記録しました。その後徐々に減少し、5月末には9万人レベルで安定し推移している。

 一方、『Identity V』はサービス開始から4年を経ているものの『デッドバイデイライト・モバイル』と同じ4月28日以降のDAUを見てみると、13~15万人程度で推移している事が分かった。最もDAU が多かったのは5月3日の15.65万人で、この日には4日間かけて行われた大会である「Call Of The Abyss V」の決勝が行われていた。

 『デッドバイデイライト・モバイル』は配信後に漸減し9万人程度で安定して推移しているが、『Identity V』は配信から4年経った今でも、14万人前後という高い水準で推移している。

 『デッドバイデイライト・モバイル』はリアルなホラーグラフィックからPC版のユーザーがプレイしていることが考えられる。一方『Identity V』ではグラフィックの美麗さは一歩譲るものの、様々な対戦モードやミニゲームを付加し、モバイルゲームとして継続的に楽しめる要素が多くのユーザーを引き付けているのではないだろうか。

それぞれのユーザーの特性は?

 『デッドバイデイライト・モバイル』のユーザー構成を見ると、男性ユーザーが65.5%と過半数を占め、特に10代男性の27.0%、次いで20 代男性の19.1%と、10~20代男性で46.1%を占めていることが分かった。一方、『Identity V』のユーザー構成を見ると、女性ユーザーが64.2%を占め、最も割合が高い10代女性の29.6%と、20代女性の25.9%が突出しており、10~20代女性だけで55.5%と過半数を占めている。

 また、『デッドバイデイライト・モバイル』をプレイしているユーザーが、他にどのようなゲームをプレイしているのか調べると、若い男性中心のユーザー構成を裏付けるように、『モンスターストライク』やPCゲームが元となっている『Apex Legends Mobile』などをプレイしているという結果になった。一方、『Identity V』をプレイしているユーザーが他にプレイしているゲームは、『プロジェクトセカイ カラフルステージ! Feat.初音ミク』や『ディズニーツイステッドワンダーランド』、『Sky 星を紡ぐ子どもたち』のように、女性に人気の高いタイトルが並び明確な差が見て取れる。

コラボレーション戦略にも違いが?

 アプリゲームを運営するうえで重要な要素である、コラボレーション戦略にも大きな違いが見られた。PC版の『Deadby Daylight』では「エルム街の悪夢」や「貞子」のようなホラー作品とのコラボが行われているが、『Identity V』では女性人気の高い「名探偵コナン」や「約束のネバーランド」などとのコラボが行われている。これらのコラボ戦略やユーザーニーズに対応した運営企画、明確なターゲティングなどを見ると、現在のユーザー構成になっている理由が納得できるだろう。

 『デッドバイデイライト・モバイル』と『Identity V』は、ゲームシステム自体は非常に似ているが、キャラクターグラフィックやデザイン、世界観などにそれぞれの特長付けがされており、『デッドデイライト・モバイル』はリアルなグラフィックによるホラー要素が、『Identity V』は可愛らしくもホラー的なデザインとその多様性が人気の要因となっており、ユーザー構成が大きく異なっていた。改めて、どのようなユーザーがそのゲームをプレイしているのか、ユーザーの需要がどこにあるのかを把握し、明確な差別化の下でゲーム運営をおこなう事が重要であると認識できた結果となったのではないだろうか。

■データ概要
・利用データ:iGage データ
・iGage データ:2022年4月28日~2022 年5月29日の期間のデータ

・『デッドバイデイライト・モバイル』
非対称対戦型のホラーアクションゲーム『Dead by Daylight』のモバイル版。
プレイヤーのうち1人は殺人鬼(キラー)、残りのプレイヤーは生存者(サバイバー)となり、殺人鬼は生存者の全滅を、生存者はフィールドからの脱出を目指す。PC ゲームプラットフォームであるSteam では、全世界での同時接続者数が10万人を突破した実績もあり、モバイル版でも事前登録者数は100 万人を超えていた。

・『Identity V』
2018年4月2日にサービスが開始された非対称対戦型マルチプレイゲーム。ゲームシステムは『Dead by Daylight』と似ており、1人の殺人鬼と4人の生存者に分かれ殺人鬼は生存者の全滅を、生存者はフィールドからの脱出を目指す。双方のアプリの特長はキャラクターデザインにあり。『Dead by Daylight』はリアルなグラフィックによるホラー要素が人気の要因だが、『Identity V』は人形のように可愛らしくも不気味さも感じられ、主に女性ユーザーから人気を獲得している。

関連記事