VTuber史上最速の登録者100万人突破。壱百満天原サロメの“快進撃”はなぜ生まれた?

 さて、現在プレイしている『バイオハザード7 レジデント イービル』は、シリーズ屈指のホラー&スプラッターな演出で人気を集める作品であり、おのずと張り詰めた緊張感が漂うゲーム配信になる。その合間を縫うようにハイトーンかつお嬢様気味な口調で彼女は話を始める。配信中に発した言葉・リアクションをいくつか挙げてみよう。

「お? オハーブですわぁ~!!」(ゴミ箱から薬草をみつけてすぐ)
「やはり持つべきものは、どこでも権力・パワー。人間というのは、権力でなんでもできるんですわ。 恐怖と権力、これがございましたら何でもできるのですわよね」
「フ〇ックフ〇ックおフ〇ックですわ!!」(前日にFワードは言わないと話していたなかで躊躇なく連呼)
「汚物は消毒ですわー!!やはり虫タイプには火が効く!!」(ゲーム中に何度も邪魔された虫の巣を除去するときに)

【おバイオ7】BIOHAZARD 7 ? をプレイいたしますわ! ?2【ですわ】

 初配信でさまざまな個人情報(住民票・履歴書・胃カメラ画像)を見せるなどのズレたエピソードに話題が向きがちだが、ゲーム内でのやり取りやハプニングをきっかけにした返答・リアクション、思わず飛び出す口の悪さとキレッキレなワードチョイスが彼女の配信でメインとなる笑わせポイントだろう。

 これに加え、アニメ・マンガ・ネットカルチャーにに詳しいものなら誰もが知っているであろう言葉や単語を熟知し、「リスナーが面白がってくれそうなネタ」を思いつくアイディア力とバランス感覚で場を推しはかりつつ、「お嬢様」を目指す上で必須な上品な言葉使いを崩れぎみな口調でトークしていく。

 しかもそれらすべてが、「お嬢様になろう」とする彼女の活動指針と照らし合わせればより面白味が増してくる。配信を見ながらツッコミたくてたまらなくなってしまうのだ。

 コメントを見ながらの対話も絡ませながらもひとりでグングンと会話を進めていくトーク力・リアクション力は、まさに「壱百満天原サロメ」という独演会を見ているかのよう。これまでのにじさんじのタレントが見せてくれた多くの要素を兼ね備えた、にじさんじに所属する配信者・ストリーマーとして正統派なスタイルだといえるのではないか。

 リスナーの立場になっていちどみてみよう。緊張感の高いホラーゲームを見続けていることもあり、配信を見ているリスナーも無意識にリラックスしたり緩んだ瞬間がほしいはずだ。

 いつものように矢継ぎ早にトークしているときだけではなく、緊張が過ぎ去って肩の力が抜けて笑みをこぼしたときに、彼女はこういった小ボケを挟んだ会話をしてくるのだ。

 リスナーが彼女のトークに自然と耳を貸してしまい、思わず笑みをこぼしてしまうのも無理もないだろう。薄紫の縦ロールの髪型、少し甲高い声色でアップテンポなトーク、何よりネガティブな話題や言葉遣いを慎み、明るいふるまいと新人離れしたトーク力で配信を進める彼女を見ると、それだけで元気をもらえそうだ。

 お嬢様を目指すにしてもどこかズレているパーソナリティ・言語センスとリアクション力の高さ・トーク時の話題選び・ゲームチョイスとトークとの相性、これらに加えてもう一つ、彼女の胆力についても褒めるべきであろう。

 ゲームはあまり上手じゃないという彼女にとって、一つひとつのプレイに少しばかりの固さがあり、しかもホラーゲームとならばなおさらストレスがかかっている状態なのは想像に難くない。しかもその視聴者の数、生配信で8万人~9万人を目の前にしてプレイしているのだ。

 そんな幾重にもなったプレッシャーのなかで、時折おっちょこちょいな一面を覗かせながら、どんなタイミングでも笑顔にしてみせようとトークしつづける胆力、これがもっとも新人離れしているかもしれない。

【GTAV】一般人お嬢様が殴り込みですわ【ですわ】

 ほかにも『グランド・セフト・オートV』や『Euro Truck Simulator 2』もプレイしているが、両作品ともに画面を注視していないとプレイ中にミスが出やすいという点で緊張感は決して低くないゲームで、同じような形で彼女は配信を進めていたことを忘れてはいけないだろう。

 今後の活動の中で、もしもホッコリとゆるふわに進められるゲームを長時間にわたって配信した際に、彼女がどんな表情を見せてくれるのか、その内容にぜひ注目したい。

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