連載「MCUの『ゲーム横丁8丁目』」第4回:ゲームの裏技(後編)

現在ではありえない、ファミコン版『タッチ』原作完全無視の裏技……レトロゲームの“パスワード”には様々な物語がある

裏情報も自慢のネタ

 パスワードといえば、大事なものをひとつ忘れていました。『ドラゴンクエスト』の復活の呪文です。

 個人的に印象に残ってるのは、「ふるいけや かわずとびこむ みずのおと ばしや」ですね。

 これを復活の呪文として入力すると、レベル10の「4ひえた」という名前の勇者で、ゴールドが1万5143、経験値2898という感じで復活するんですよね。こんなふうに、通常では出てこないけど実際に使える呪文というのも話題になりました。

 あと復活の呪文といえば、僕らKICK THE CAN CREWが2017年9月7日に行った日本武道館『復活祭』のオフィシャルグッズ「じゅもんTシャツ」の胸にプリントされていた「くればえむ しいゆうりとる でいくふつかつさ」も、本当に復活の呪文としてドラクエで使えるんですよね。

 この呪文では「に6き8」という勇者がレベル16で復活します。パラメータとしては中途半端な強さですけど(笑)。この呪文は僕の知り合いで「復活の呪文作成師」の麟閣さんという方に作ってもらいました。

 こうやって見ると、レトロゲームには本当にいろいろな裏技、裏情報がありました。いまのゲームでは、そういうものを入れても削られてしまう部分もあるんでしょうけど、違うところに特化しすぎていて、こういう遊びが少なくなってしまった気がします。

 こういう裏技を必死になって探していたからこそ、当時のファミコンブームがあったと思うし、盛り上がったんだと思います。ゲーム業界は引き続き盛り上がっていますがゲームの本筋だけではなくこういう遊びは、もう入れられないんでしょうかね……。

 作り手個人の遊びがここまで入るというのも、当時ならではのことだと思います。しかも、十数年バレないレベルで隠して、見つかったらヤバいというメッセージが入っているんですから。それを僕らが自力で見つけたからこそ、思い出となり、いつまでも心に残り、語り継がれるものになっているんだと思います。

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