ドラマパートはおまけではない? 『トークサバイバー』で味わう新感覚の笑いと感動

 3月8日からNetflixにて配信された『トークサバイバー』はまさに革命だった。バラエティとドラマ、両方の常識の天地をひっくり返したまったく新しいコンテンツが爆誕した。

 『トークサバイバー』とは、『ゴッドタン』『あちこちオードリー』などで知られるテレビプロデューサーの佐久間宣行が手掛けた今作は、骨太サスペンスドラマの合間に突如トークパートが差し込まれ、芸人達が「傷ついた話」「誰にも言えない秘密」「とっておきのタレコミ」「人から言われてショックだった言葉」などのお題に沿ったトークを台本なしで展開し、一番面白くなかった芸人は強制退場、ドラマから降板させられるという生き残りをかけたお笑いデスゲーム番組だ。

 メインMC兼出演者は「千鳥」。大悟は物語の主役を演じ、ノブは見届人としてドラマを鑑賞しながらストーリーにツッコミを入れる。第1章『学園編』では、劇団ひとり、飯尾和樹(ずん)、峯岸みなみ、塚地武雅(ドランクドラゴン)、板倉俊之(インパルス)、田中卓志(アンガールズ)が、第2章『刑事編』ではケンドーコバヤシ、岩井勇気(ハライチ)、向井慧(パンサー)、森田哲矢(さらば青春の光)、吉村崇(平成ノブシコブシ)、狩野英孝、ヒコロヒー、渡辺隆(錦鯉)、とにかく明るい安村、小宮浩信(三四郎)、イワクラ(蛙亭)、アンミカ、伊藤俊介(オズワルド)、サーヤ(ラランド)、春日俊彰(オードリー)、近藤春菜(ハリセンボン)がトークサバイバーとして出演し、ドラマパートでは間宮祥太郎、髙橋ひかる、後藤剛範、原幹恵、東出昌大、岡田浩暉、森永悠希らが物語を盛り上げていく。

 バラエティとしての面白さは言わずもがな。前述した通り、いっさい台本がない状態で行わるトークパートは無慈悲とも言えるほど容赦ないスピードの無茶振りによって出演者達の「リアル」があぶり出されていくのだが、一方では高校生役・刑事役という「テイ」を保ったうえ、前に話した芸人のトークを踏まえて喋り出そうとする「フィクション感」が単なるトーク番組とは一線を画していた。3月9日放送の『佐久間宜行のオールナイトニッポン0』でも言及されていたが、話の流れを無視して事前準備したトークを披露してしまった芸人たちは淘汰され、容赦なく脱落させられる。またトークパートは短期間で撮影が行われていたらしく、そんな過酷な状況も相まってカオス (混乱)とコスモス(秩序)が交差する異様な雰囲気が画面からも伝わってきた。秒単位で変わる場の雰囲気に四苦八苦する者、全てを無視して場を荒らす者、淡々と自分のキャラクターを演じる者、今後の仕事にも影響を及ぼしかねない爆弾を投下する者、そんな極限状態の末に周りが驚愕するほどの「覚醒」を見せる者、そこで巻き起こる爆発的な笑いはほかで味わったことのない感覚があった。

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