王道進化の一作『ELDEN RING』が照らす、「国産オープンワールド」台頭への道筋

 2022年2月25日、『ELDEN RING』がついにリリースを迎えた。

 2019年の開発発表時から大きな期待と注目を集めてきた同タイトル。フロム・ソフトウェアが誇る“ソウルシリーズ”の最新作は、どのようなゲーム体験をプレイヤーにもたらしているのだろうか。過去のシリーズ作品との違いに、2022年以降の国内トレンドを見た。

“ソウルシリーズ”の王道進化を謳うフロム・ソフトウェア最新作『ELDEN RING』

ELDEN RING 発売ロンチトレーラー【2022.02】

 『ELDEN RING』は、フロム・ソフトウェアが開発・発売するアクションRPG。同社の代表作のひとつである“ソウルシリーズ”の王道進化を謳う、今年屈指の注目タイトルだ。

 ディレクターを務めるのは、『アーマードコア』や『Demon's Souls』、『DARK SOULS』シリーズの各作品、『Bloodborne』、『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』などの制作に携わった宮崎英高。世界観の構築には、『氷と炎の歌』(TVドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の原作)で知られるジョージ・R・R・マーティンが関わった。“ソウルシリーズ”の中核をなす作品『DARK SOULS』とは冠を別にするが、両者には、“死にゲー”としてのゲーム性、ダークな世界観、根幹となる育成・バトルシステムなど、多くの共通項がある。一方で、過去の同シリーズ作品にはなかった、時間の経過や天候の変化、騎乗アクションが新たな要素として盛り込まれた。

 宮崎は過去の“ソウルシリーズ”作品との違いについて、「世界と物語のスケール感、探索の深さと自由度が大きく増しており、ボリューム的にも過去最大といって間違いない」と、開発発表時のインタビューで語っている。トレンドジャンルとして隆盛を極めるアクションRPGにおいて、2020年代のひとつの指標となっていくであろうタイトルが『ELDEN RING』だ。

「オープンワールド化」が示した、“ソウルシリーズ”の新たな可能性

ELDEN RING - Gameplay Preview

 過去作品からの伝統を踏襲しつつ新たな試みも盛り込まれた、フロム・ソフトウェアの最新作『ELDEN RING』。そのインプレッションにおいて、先に紹介した変更点以上にプレイヤーをワクワクさせたのが、“ソウルシリーズ”初の「オープンワールド化」だろう。

 オープンワールドとは、プレイヤーがマップを自由に探索し、好きな順で小目的をこなしていける設計を指すゲーム用語だ。一続きの広大な世界を舞台とする性質から、エリア間の移動にローディングを挟まないデザインを持つタイトルが、日本ではここに分類されることもある。

 過去発表された“ソウルシリーズ”作品では、『Dark Souls』や『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』がこのようにシームレスな設計を持っていたが、エンディングへと向かう道筋が概ね一本であったことから、「ジャパナイズされたオープンワールド」として、本物志向のファンたちに残念がられていた。しかし、『ELDEN RING』では、比較的自由な形で目標設定が可能となり、本来の意味での「オープンワールド化」に成功している。

 同タイトルにおいては、初対面時に強すぎるボスも、攻略順を見つめ直すことで無理なく倒すことができる。オープンワールドの醍醐味であるこうした体験は、“死にゲー”と呼ばれる“ソウルシリーズ”と相性が良いものと言えるだろう。プレイヤーの操作技術面、キャラクターのパラメータ面(武器や防具、スキルのアップデートを含む)での成長を通じて、巨大な壁を乗り越えていく感覚こそが、シリーズがなかば中毒的に愛されてきた所以であり、各作品をアクションRPGジャンルの金字塔たらしめている要因だ。ゲームフリークから信頼を獲得している海外のレビューサイトでは、異例とも言える“超高評価”も獲得している。その背景に「オープンワールド化」があったのは間違いないだろう。この要素なしで『ELDEN RING』の面白さは語れない。

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