「もうメディアに出られないかも」から始まったメタバース生活。ガリガリガリクソンがバーチャル世界で取り戻した“少年時代”

「お笑いを始めてから22年、いままでこんなに努力したことはなかった」

――メタバースの魅力はどこにあると思いますか?

ガリクソン:ここは現実とは違う世界ですが、共通の仲間がいるので、余計なものが削ぎ落とされたコミュニケーションがとれるじゃないですか。カッコつける必要もなければ、良いふうに思われるように振る舞わなくても良いので、本当に「精神で遊べる」というのが良いところでしょうか。

 ゲームはリセットボタンを押してしまうとそこで終わりなのですが、この世界にはリセットボタンがないんですね。たとえば電源を落として現実世界にいるとしても、その裏では誰かが何かをやっている。電源をつけてメタバースに戻ってくると1からのスタートではなく、何かしらの新しい進展がある。世界が常に動いているところがゲームとは違うというか、そういった感覚ですね。

 メタバースではやりたいと思ったことがなんでもできるじゃないですか。なので「現実より現実」という感じはしますね。なのでたまに「現実はオワコン」ってSNSに書いちゃってるんですけど(笑)。

――今後メタバースでやりたいことや目標はありますか?

ガリクソン:いまの僕は坂本少年に戻っていますが、もうちょっと違う人生を体験するというか、具体的には美少女アバターに手を出したいなと思っています。もちろんボイスチェンジャーも入れて、メタバースで美少女として生活するのが次の挑戦ですね。そしてできればその美少女アバターも自分で作ってみたいです。

――アバターから作るというところに本気度を感じました。

ガリクソン:まだ全然ですけどね(笑)。実際にもう作りはじめていて、このアバターもそうです。髪の毛の表現がうまくできず、そこの勉強をしているところです。

――ちなみに、このアバターを作るのにどのくらい時間をかけられましたか?

ガリクソン: Unityを1ヶ月間ほぼ毎晩触り続けて、ようやく仕組みがわかって、ゆるキャラを作り始めたんです。でもみんな人型のアバターが多いので、なんとか人型を作らないとなと思ったんですけど、作り方なんてわからないので、YouTubeなどで色んな方の解説を見て、一生懸命いろんな勉強をして2日間で作った。

 でもほかの方に「アバターを作るのにどれくらい時間かけてるんですか?」って聞いてみると、長い人だと1年かけてる方もいるというのを聞いて……挫折しそうですね(笑)

 でも1年かけて作ったアバターもみんなBoothとかで数千円とかで売ってるんですよ。「この人たちはなんてピュアなんだろう」と思いますね。「あの努力をそんな価格で販売していいの!?」という。もちろんお金でやってるわけじゃない人も多いと思いますけど、僕だったら1日間で作ったアバターをウン十万円で売りたいところです。誰も買ってくれないでしょうけどね(笑)。

 あんな大変な作業をしているのにと思いますが、「遊びなんでね、趣味なんで、好きなんで」という方が多いですね。

 先日アバターの交流会があって、すごく作り込んだロボットのアバターがいらっしゃったので話してみると、「遊びなのでこんなの全然」みたいな感じだったんですね。その方も半年くらいかけたっておっしゃっていたので、「もっと頑張らないといけないな」と思いました。ぼくはいまほとんど無職なので、PCをずっと触ってられるんです。なので、いまのところは技術の差が離れていますけど、頑張れば追いつけるんじゃないかと思って勉強しています。

 お笑いを始めてから22年目なんですけど、いままでこんなにハマったり、努力したことってなかったですね。人生で一番ハマったことかもしれません。お笑いもこのくらい真面目にやってたらもっと売れてたかも(笑)。

――メタバースにどんな未来を感じられていますか?

ガリクソン:メタバースとか、ソーシャルVRとか色々呼び方があって、メタバースと呼ばれるようになったのは最近だと思うのですが、メタバース内のエンターテインメントを見ていく中で、テレビに代表されるいまのエンターテインメントを古く感じてしまう部分がでてきています。

 新しいエンタメを求めている人はぜひメタバースに遊びにきて欲しいなと思いますし、僕もそれを求めてきているので。昔と違っていまはスマホで入れるメタバースもあるので、どんどん人が入ってきたら面白いだろうし、色んな出会いが生まれるんじゃないかなと。

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