『Weekly Virtual News』(2021年1月17日号)

『Vカツ』終了に『Second Life』創始者の新たな動き……アバター文化の隆盛と懸念が垣間見えた一週間

(かつて「Vカツ」にて作成した筆者のアバター)

 その一方で、アバター作成ツール『Vカツ』が、6月30日をもってサービスを終了することを発表した。2018年7月に発表された、クオリティの高いアバターを自由に作成できるツールの一つであり、多くのVTuberが活動初期の肉体をつくり、また一般人がアバターを所有する文化の礎を作ったツールだ。お世話になった人からは感謝の声が寄せられているが、「サービス終了後は作成したアバターの使用を禁止する」という告知には賛否両論だ。少なくとも、現時点で『Vカツ』製のアバターを用いている人は、6月30日までに別のアバターへ移行する必要がある。急な「余命宣告」を前に、戸惑いの声が多く上がっている。

 「なりたい自分」になれる点が注目されているアバター文化だが、そのアバターが諸事情によって使用不可となり得るという問題は、今後も少なからずつきまとうだろう。不安を抜本的に解決するには、「VRoid Studio」のような、作成したアバターの著作権が作成者に帰属するツールを利用するか、著作権を引き取る契約でクリエイターに制作依頼をするか、自らフルスクラッチするほかない。似たような問題は、過去にはVTuber業界でたびたび起きている。しかし、メタバースブームの到来により、万人が自分のアバターを持ち得る可能性が出てきた2022年は、この問題はより顕在化する可能性があるだろう。

 突然の『Vカツ』サービス終了に界隈は揺れ動いたものの、次なる動きもまた早かった。有志によって移行先ツールの紹介はすぐさま実施された。そして、紹介された移行先ツールの一つ「カスタムモデル Homunclusse」はセールを開始した。また、立ち絵や3Dモデルなどの制作を請け負うクリエイターの営業活動も散見された。この数年で、アバター文化は着実に浸透と発展を遂げており、「市場」はすでに芽生え始めている(決済は仮想通貨ではなく日本円だ!)。万人がアバターを衣服のように売買し、自由に「おしゃれ」を楽しめる世界は、着実に近づきつつある。

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