『Call of Duty』『Battlefield』『Halo』……それぞれの最新作からわかる、FPSシーンの現在地とは

買い切り型ならではの、メインとは異なる体験をもたらす別モードへ寄せる期待

 買い切り型のタイトルの魅力として、基本プレイ無料型のタイトルではなかなか実現できないであろう、メインゲームとは全く異なるプレイスタイルを楽しめる別のモードが用意されていることも挙げられる。

 『Call of Duty: Vanguard』にはシリーズ恒例となるシングルプレイのキャンペーンモードが用意されており、今回は第二次世界大戦を舞台に、当時実際に存在した人物をモデルとしたキャラクターたちが繰り広げる物語に身を投じることができる。これまでの作品ではどこか米国主義的な側面が目立つ場面も散見され、ときには論争を巻き起こしてきた過去も持つ本シリーズだが、今作ではイギリス兵、ソ連軍兵、米国軍兵、オーストラリア軍兵というバックグラウンドの異なる4名の主人公の登場がアナウンスされており、はたしてこの時代にあの戦争をどのように描くのか? という部分に着目して楽しむのも良いだろう。また、筆者個人としては、4人一組で壮絶な量のゾンビの大群に立ち向かう「ゾンビモード」も作品ごとに極めて完成度の高いPvEシューターとなっているため、非常に楽しみにしている。

Call of Duty®: Vanguard | キャンペーントレーラー

 『Battlefield 2042』ではこれまでのようなシングルプレイのモードは無いが、その代わりにメインの大規模戦闘とは全く異なる、今作で初めて登場する2つのマルチプレイヤーモードが用意されている。1チーム4名による小規模編成で参加する「Hazard Zone」では、1つのマップ内に配置された強力なNPCが守る目標物の奪還に挑むことになる。目的はあくまでアイテムの回収だが、本モードでは別チームは敵部隊として扱われるため、部隊同士が遭遇した場合には必然的にPvPの撃ち合いが始まることだろう。また、これまでの作品で登場した様々なマップを用いて、使用武器やビークル、あるいはルールや設定まで全て自由にカスタマイズしたプレイヤーオリジナルの『Battlefield』を創り上げることができる「Portal」は、ユーモアに満ちたトレーラーも相まって、本シリーズのサンドボックスとしての魅力の集大成になることが期待される。

Battlefield 2042 | 「バトルフィールド・ポータル」公式トレーラー

 基本プレイ無料モデルで提供される『Halo Infinite』だが、本作品にもシングルプレイのキャンペーンモードは用意されており、マルチプレイヤーと同日に別パッケージでリリースされる予定となっている(有償での販売に加え、Xbox Game Pass会員であればリリース初日にプレイ可能となる)。『Halo』シリーズはほかの作品とは異なり、マスターチーフという一人の主人公が宇宙を舞台に活躍する、壮大なSFの物語を約20年にわたって描き続けてきており、本作のキャンペーンモードはその物語の最新作という位置付けとなる。他の作品がマルチプレイヤーを中心として語られる(『Call of Duty: Black Ops』といった傑作は存在するが)のに対して、『Halo』のキャンペーンモードは練り込まれた世界観やストーリーテリング、キャラクターの魅力などによって高い評価と熱狂的な支持を受けており、先日公開されたトレーラーはYouTubeで約200万回以上の再生回数を記録し、その期待度の高さを伺うことができる。今回も相当に気合の入った仕上がりになっていることが予想されるため、もし『Titanfall 2』といったシングルプレイFPSに魅力を感じているのであれば、きっと本作のキャンペーンモードも楽しめるはずだ。

Halo Infinite - Campaign Overview

 『Call of Duty』、『Battlefield』、『Halo』は共通のFPSというジャンルでありながら、それぞれが独自の差別化を図ることで約20年という長きにわたって巨大な存在として生き残ってきた歴史を持つ。今回の各作品の同タイミングでのリリースは、改めて各シリーズの持つ魅力を再確認することができる機会であるとも言えるのではないだろうか。きっと、これらの作品を通して、FPSの持つ奥深さや様々な側面を発見することができるはずだ。もし少しでも興味を抱いているのであれば、ぜひ気軽に、それぞれの作品を手にとって頂きたいと思う。

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