キッチンのDX化は“ロボットアーム”の時代に? 上海には初の「AIコミュニティ食堂」も開店

 これまで、飲食業界のスマート化というと、フロアのテック化、例えば、テーブルオーダーやデリバリー、ロボットスタッフにモバイル決済などに関心が集まっていたが、すでにフロアにおけるDX化は頭打ちになりつつある。そのため、フードテックも徐々にキッチンのDX化へと発展してきている。

 中華料理をはじめ、料理人にはスキル以外にセンスも必要と聞くが、料理人の育成は時間がかかる。また、店舗数を拡大したくても料理人不足が課題の店舗も多い。ロボットアームがキッチンに登場したことで、料理人の作業負担が少しでも軽くなるならば、飲食店も多様なサービスをさらに開発していく可能性が開けるのではないだろうか。

 また、「AI社区食堂」のようなコストパフォーマンスが良く、安心安全の料理を毎日気軽に利用できることで、独居高齢者の生活懸念など高齢化社会が抱える課題、即ち高齢者の健全な食生活の確保も十分できる。

 今回の「AI社区食堂」は上海初だが、今後はこうしたスタイルの食堂のニーズが徐々に増えてくることが予想される。DX化と聞くと、テック企業の製品やサービスなど最先端技術の先行や発展などのイメージが強いが、このように地域の生活にとりこまれた身近なDXこそ持続していける真の融合スタイルなのかもしれない。

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