連載:声とテクノロジーで変革する“メディアの未来”(第四回)

M-1芸人の配信番組も大反響ーー“お笑い芸人特化“のラジオアプリ『GERA』が今熱い理由とは

音声でどのような「生活の豊かさ」を提供できるかが鍵となる

ーーGERAはコロナ禍の真っ只中で始まったサービスですが、この音声サービスやコンテンツが広がったと言われているこの1年どうでしたか?

恩田:正直、コロナ禍は音声業界にとってきっかけではあったけれども、長引くのであれば効果はあまりないんじゃないかと感じました。というのもGERAの場合、長期休暇にユーザーが減るという現象があって。つまり通勤や通学が無くなると再生回数が減るんです。となると緊急事態宣言が明ける、明けないで習慣が崩れているこのコロナ禍での定着力はそこまで期待できないというか。習慣の力はものすごいので。一番ベストはリモートワークが増えても通勤が戻っても、その習慣化された生活のなかにラジオを聴くという行為がそのまま残ってくれていることですかね。

ーー習慣のなかでGERAを聞いてもらうにはどうすればいいのでしょうか。

恩田:GERAがいかに生活の中で価値を提供するかですかね。その価値の感じ方は人によって全く違うので、例えばYouTubeとNetflixの使い分けみたいに、しっかり長尺のコンテンツを観たいときはNetflix、10分暇つぶしをしたいときはYouTubeみたいにシーン別で選んでもらえるコンテンツをつくっていくべきだと思います。

 ただ、音声vs音声の争いの前に、それこそNetflix、YouTubeなどの様々な可処分時間の使い方があるなかで、音声コンテンツ以外のことに忙しいということは忘れてはいけないと思っていて。ユーザーのなかで音声の可処分時間を大きくする際には、そこと真正面で戦おうとするのではなく、音声でしかできないことはなんだっけということをまずは見つけないといけない。そこを履き違えちゃいけないというか。

ーー現代の人たちの時間のなかにどれだけ音声が入り込めるかは課題ですよね。

恩田:それでも、もう一回音声が注目されることにもなると思います。今はスマホに時間を取られすぎていて、SNSやYouTubeの通知だとかですぐ気を引きつけられてしまう。今も問題視はされていますが、画面から目を背けようという時代の振り戻しみたいなのは多分くると思います。その時に音声はどう生活を豊かにできるんだっけ?という回答は持っておかなきゃいけないと思っています。

ーー変わりゆく音声との付き合い方のなかで、GERAが提供していく「1対n」の音声コンテンツの面白さ、醍醐味はどうやって伝えていきたいと考えているのでしょうか。

恩田:これはもうすでに地上波ラジオにある文化ですが、自分たちもコンテンツに参加してつくり出しているんだという、パーソナリティとリスナーの関係性の素晴らしさを深掘りしていきたいです。リスナーのメールによって番組の内容が変わっていくことは、他にないすごいことだと思っていて。あと自分のメールが読まれるってめちゃくちゃ嬉しいじゃないですか。GERAではその関係性を大切にして、リスナーさんに喜んでもらって、よりコンテンツの面白さを深掘りして伝えていきたいと思っています。色々お話しさせて頂きましたが、まだ何も成し遂げていないので、引き続き頑張ります。

■お笑いラジオアプリ『GERA』について


国内最大級のお笑いラジオアプリ。M-1グランプリやキングオブコントで活躍されている芸人や注目の若手を始め、ライブシーンで活躍されている芸人など幅広いラインナップで配信している。また、各番組は基本的に法人の広告収入に頼らず、リスナー個人が「応援ボタン」をプッシュしCM動画を見ることや「スポンサー権利」を購入し番組を直接応援できる仕組みによって運営。2021年5月時点で番組数は約40番組、総エピソード数は1,500本を超える。
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