『Returnal』がもたらすゲーム体験は、PlayStation5時代の“基準”となるか

 4月30日、PlayStation 5専用ソフト『Returnal』がソニー・インタラクティブエンタテインメントより発売された。

 次世代機のローンチから間もない時期の看板タイトルとして、多くのフリークが注目していた同タイトルは、どのようなゲーム体験を私たちに届けてくれるのだろうか。本稿では、『Returnal』のプレイを通じて感じたインプレッションをお届けする。

ローグライク・TPS×マルチエンディングのマリアージュが生む中毒性

『Returnal』(リターナル) “ループ”トレーラー

 『Returnal(リターナル)』は、『RESOGUN』『Nex Machina』『Alienation』などのタイトルで知られるディベロッパー・Housemargueが開発するローグライク・TPSだ。未開の惑星に不時着した宇宙船の乗組員・セレーネは、脱出の手段を求めて未知の生物が棲み着く危険な環境をさまようことになる。与えられた対抗手段は、銃撃と移動アクションのみ。この2つを駆使しながら、プレイヤーはセレーネを操作し、惑星の謎を解き明かしていく。

 同タイトルの特徴・魅力の多くは、「ローグライク」である点に集約されている。ローグライクとは、ゲームオーバーとなると過去の進行状況がリセットされ、初期状態からスタートするゲームを指すジャンル名だ。日本においては『トルネコの大冒険』シリーズや『風来のシレン』シリーズなどが有名で、近年では『Slay the Spire』といったタイトルも高評価を受けている。2010年代後半以降、以前にも増して人気を獲得しているトレンドのジャンルである。

 『Returnal』では、主人公が途中で息絶えてしまうと、惑星にたどり着いた時点まで時間が巻き戻る。プレイヤーはその間に入手したアイテムのうち、一部を除くすべてをロストし、もう一度ゼロからの探索を余儀なくされるのだ。また、リスタートのたびにマップや敵の配置が再度構成されるため、関連するノウハウは役に立たなくなる。その仕様がもたらす“死にゲー”的な難易度がマルチエンディングの要素と相まって、惑星探索にリアリティと中毒性をもたらしている。

 一方で、ローグライクやシューティングは、プレイヤーを選ぶジャンルでもある。両分野との相性が悪い、または素養が低いプレイヤーにとっては、ゲームオーバーとなってばかりでなかなか進まず、歯がゆい思いをすることもあるだろう。数時間のプレイを経ても上達の実感がなく、いまだにスタート地点にいるというケースもままある。上述の条件に心当たりのあるプレイヤーは、手に取るにあたって、ある程度の覚悟が必要となりそうだ。

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