要所に詰め込まれた競馬へのリスペクト ゲーム『ウマ娘』は競馬ブーム再燃の起爆剤に?

 2月24日、Cygamesの新作スマホゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』がサービス開始となった。

 当初2018年冬のリリースを目標に開発されていた同タイトル。同年12月に配信の延期が発表されて以降、3年以上を月日を経て、ようやくサービス開始へとこぎつけた形だ。

 本稿では、『ウマ娘 プリティーダービー』の概要を踏まえ、ゲーム性・シナリオ性の二面から同タイトルを掘り下げていく。

女の子に擬人化された実在の競走馬たちを育成するシミュレーション

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 『ウマ娘 プリティーダービー』は、「ウマ娘」として擬人化された実在の競走馬たちを、コマンド選択式シミュレーションの要領で育成するスマホタイトルだ。ゲーム内には「スピード」や「スタミナ」といったパラメータが用意されており、プレイヤーは与えられた約3年間のシナリオのなかで、数あるランダムイベントを消化しながら、これらの数値の強化を目指していく。主人公となるキャラクター(育成ウマ娘)1体と、育成をサポートするカード5枚を手持ちから自由に編成できるシステムも特徴で、コンパクトながら幅広いプレイが楽しめる作品となっている。育成し終えたウマ娘たちは、プレイヤー同士の対戦や次の育成のための素材に使用できる点も同タイトルのゲーム性だ。

 『ウマ娘 プリティーダービー』に関しては、2016年にプロジェクトの進行が発表されたが、当初2018年冬とされていたリリース予定日が延期となっていた。今回のサービス開始に先駆け、TVアニメ1期(2018年4~6月)・2期(2021年1月~現在放送中)、コミック、CDといった、さまざまなメディアミックスも展開されている。開発の中止が噂されるなか、3年以上の沈黙期間を経て、満を持してお目見えとなった注目タイトルが『ウマ娘 プリティーダービー』だ。

スマホゲームならではの課題にアプローチした“性能格差の最小化”

 『ウマ娘 プリティーダービー』は、上述(所有する育成ウマ娘・サポートカードを、その分類のなかから自由に選択し、育成へと参加させられる)の設計上、プレイヤーが好きなキャラクターを推しやすい特性を持っている。特に育成ウマ娘に関しては、「すべてのキャラクターを最高レアリティまで強化できること」「レアリティの高さと育成結果の良し悪しが必ずしも一致しないこと」などから、低レアリティのキャラクターにも惜しみない愛情を注ぐことが可能だ。

 この特徴は、「実在の競走馬をモデルとし、すでにメディアミックスが多数展開されている『ウマ娘 プロジェクト』発のゲーム」という視点に立ったとき、大きな意味を持ち始める。ゲーム以外の接点から特定のウマ娘を好きになったプレイヤーも、性能面に後ろ髪を引かれることなく、好きなキャラクターを推せるのだ。

 一般的なスマホゲームでは、強いと言われるキャラクターが“マスト”とされることも多く、自身の愛情を貫くためには、効率的な攻略が後回しになるケースも珍しくない。キャラクターありきのタイトルがこの世にごまんとあるなか、こうした点は同分野のデメリットとなっていた。多くの場合、“マスト”を求める課金競争が展開され、入手できない・参加できないプレイヤーは体験を悪化させる。「キャラと課金に縛られず、プレイできたらいいのに」と感じたことのあるフリークは少なくないはずだ。

 課金ベースのスマホゲームが持つ課題に対し、一部で解決を図った『ウマ娘 プリティーダービー』の功績は大きい。寝る間を惜しむプレイヤーが後をたたない理由には、「課金を強いられずに、好きなキャラクターでプレイできる」という、同タイトルの特性の存在もあるのではないだろうか。

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