ビジュアルとサウンドが産んだ圧倒的没入感 『ENDER LILIES』は“メトロイドヴァニアの新定番”となるか?
『ENDER LILIES: Quietus of the Knights(エンダーリリィズ: クワイタス オブ ザ ナイツ)』のアーリーアクセスが1月21日、PC向けゲームプラットフォーム「Steam」にてスタートした。
2020年設立の新興パブリッシャーによって世に放たれた同タイトルは、“メトロイドヴァニア”の歴史に名を刻むタイトルとなれるのだろうか。本稿では、ビジュアルとサウンドの2つの面から『ENDER LILIES: Quietus of the Knights』の魅力へと迫っていく。
ダークファンタジーの世界で織りなすメトロイドヴァニア
『ENDER LILIES: Quietus of the Knights』(以下、ENDER LILIES)は、新興のゲームパブリッシャー・Binary Haze Interractiveが贈る高難度2DアクションRPGだ。プレイヤーは、主人公であるリリィを操作し、「死の雨」により滅びた王国の謎の解明を目指す。舞台となる「果ての国」には、荘厳な王城、水没した深い森、地下の禁じられた汚染領域といった、悲観的で美しいダークファンタジーの世界が広がっている。そこに立ちはだかる数多の困難をプレイヤーの技術と工夫で乗り越えていくことが、同タイトルにおけるゲーム性だ。リリィは、ボスとの戦いに勝利し、彼らを不死の呪縛から解放することで、その魂を体内に取り込み、新たな力を手に入れる。“メトロイドヴァニア”と呼ばれるジャンルに分類されるタイトルで、同分野の王道的作品はもちろん、『ニーア』シリーズや『ソウル』シリーズにも通ずる世界観・ゲーム性が、コアなフリークの間で密かに話題を呼んでいる。
『ENDER LILIES』の没入感を支える、ビジュアルとサウンドのマリアージュ
販売元であるBinary Haze Interractiveは2020年、世界観や雰囲気を重視したコンシューマー向けオリジナルタイトルだけを、日本から世界へ発信するゲームパブリッシャーとして、株式会社アドグローブ(『ENDER LILIES』の開発を担当)の代表・小林宏至氏によって設立された。同社にとって『ENDER LILIES』は、そのコンセプトを具現化した最初のタイトルということになる。
近年のメトロイドヴァニアの分野では、『Bloodstained: Ritual of the Night(ブラッドステインド: リチュアル オブ ザ ナイト)』や『Hollow Knight(ホロウ ナイト)』などの好評が記憶に新しい。ビジュアルの面で言えば、よりリアルでレトロな前者と、よりカジュアルでポップな後者、その中間に位置するのが『ENDER LILIES』だと言えそうだ。トレーラーからは、ジャンルの基本に忠実ながら、双方とは絶妙に差別化を図っている同タイトルの佇まいが窺える。およそ4頭身にデフォルメされた女の子が主人公である点には、日本のゲームカルチャーであることに対する、Binary Haze Interractiveの誇りのようなものを感じざるを得ない。