EXITに感じる“報道キャスター”としての素質 社会問題と向き合ってきた2人が紡ぐ「核心をつく言葉」の数々

EXITの“報道キャスター“としての素質

批判が殺到した「河井夫妻へのボーナス支給」に対してりんたろー。が俯瞰した意見を述べた(2020年7月2日放送回)

 「批判相次ぐ河井夫妻への637万円のボーナス支給」に対してりんたろー。は「日本国民は人数も少ないし、民意は比較的動かしやすいと思う。ここで議員が『ボーナスは貰いません。額を抑えます』とかってなったら、結構国民の気持ちは動くと思っていて。なので、ボーナスを貯金するより、国民からの信頼の貯金にまわした方が賢いんじゃないかなと思います」と国全体を俯瞰した自身の考えを明かした。

「日本の核兵器禁止条約不参加」について、りんたろー。がまっすぐな意見を述べた(2020年8月6日放送回)

 国として決断を迫られているテーマの一つである「日本の核兵器禁止条約不参加」についてりんたろー。は、「どの国がどれくらいの核兵器を保有しているかなどの、細かい現状は全く知らなかった」と素直にさらけ出した上で「当然世界で唯一の被爆国として、やっぱり悲しみとか苦しみとか、リアルを伝えていくことがある種の日本の使命だと思っていたので、この条約に参加していないことがとても意外でした」と率直な感想を述べた。

りんたろー。が「いじめ問題」について実体験をもとに語った(2020年8月20日放送回)

 りんたろー。は「対応とか対策も、もちろんしっかりとしていかなきゃいけないことなんですけど。もう、いじめが起きてしまったその環境においては、例えば助けてくれた友達がいたとか、学校の対策がしっかりしていたなどの“運”の話になってくる。僕も自殺してしまった友達がいますけど、“生きることを諦める”勇気を、その環境から飛び出す方に使ってほしいってすごく思う」と自分の過去の経験をもとに切実な願いを語った。

番組のチーフプロデューサーが語るEXITのキャスターとしての素質

 『ABEMA Prime』のチーフプロデューサー・郭晃彰氏は、2人のこれまでのキャスターとしての活躍についてこう語った。

日常に起きたことを自分ゴトとして吸収していく兼近

 「兼近さんのコメントで印象的だったのは、理想の上司やリーダーについて議論した時の『今の時代は、助けてもらえるリーダーが良いんじゃないか。何でも1人だけではできないから』というコメントです。お笑い第7世代は“否定から入らない”優しい笑い”などと言われますが、まさにそれを体現したものでした。また最近、兼近さんが発熱して、「新型コロナに感染したかも?」と疑われたことがありました。検査で陰性だったので影響も問題もなかったのですが、彼は「ご迷惑かけました、すみません」とスタッフに言ったんです。番組としてはもし感染したとしても、謝る必要はないですし、差別はもってのほかだと考えているので、そのことを伝えると、直後のオンエアで「コロナになったからといって、謝る文化はおかしい」と発言していました。日常に起きるあらゆる出来事を自分ゴトとして受け止めて、発信する姿勢は、立派な報道キャスターです」

フラットな目線で本質をとらえる力のあるりんたろー。

  「りんたろー。さんは社会の空気感を瞬時に捉えることができる感覚が素晴らしいです。先日、ABEMAニュースではアンジャッシュ渡部建さんの記者会見を生中継していたのですが、これがアベプラの直前まで続いたんです。バタバタの流れで始まった番組の冒頭で、彼が『渡部さんが多目的トイレでそういうことをしたのは良くないけど、女性リポーターが責め立てるのは、何なんだろうな、と思った』とコメントしたんです。長時間に渡って続いた”質問攻め”への違和感を、すぐに言語化できるスキルに驚いたのはもちろんですが、翌日以降この”レポーター問題”がネットメディアを中心に大きな関心を集めました。フラットな視点と感性で、報道やワイドショーの”当たり前”を疑うことができるりんたろー。さんのスタンスは、今のアベプラにとって大きな武器になっています」

 飾らずまっすぐな姿勢でキャスターとしても成長を続けるEXIT。これからも“若者の代弁者”として活躍が期待される。

■中野亜沙子
東京都目黒区出身のフリーライター。「若者が自ら考え行動し、自立するきっかけをつくる」をテーマに執筆する。お笑いとゲームとYouTubeが好き。心理カウンセラーの資格取得を目指し勉強中。

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