『スーパーマリオ3Dコレクション』は“一生手元に置いておきたい作品”だ

 2020年9月18日に発売されたNintendo Switchソフト『スーパーマリオ3Dコレクション』。スーパーマリオブラザーズ35周年記念の一環として発売された本作は、過去作の『スーパーマリオ64』『スーパーマリオサンシャイン』『スーパーマリオギャラクシー』の3タイトルが1本のソフトに集約されている。今回はこの3作品すべてを体験した筆者が今作をレビューする。

 全体の感想としては、過去作の魅力を十分に味わえる作品だと感じた。筆者が一番気になっていたグラフィックも、従来のSD画質からHD化したことで、くっきり鮮明な映りで違和感なく楽しめた。とくに『スーパーマリオサンシャイン』に関しては、Switchの画面サイズに対応し従来よりワイドな画面比率になっている。視野が広がりプレイがしやすくなったのだ。

 一方、全タイトルで操作ボタンに一部変更があり、従来通りの感覚で操作するのは難しかったのも事実である。チュートリアル画面で解説が入るため問題はないが、操作に慣れるまでに多少時間が必要だろう。とはいえ、美しいグラフィックで思い出の作品を楽しめる喜びは想像以上だった。経験がある分クリアも早く、3つのタイトルを並行してプレイしていくのも一つの楽しみ方だと感じた。セレクトボタンを押すだけでタイトル間を簡単に移動でき、ロード時間も短くストレスは全くない。意外な場面でタイトル集約型ソフトの魅力を体感することとなったのだ。

 今作はサウンドトラックも大きな楽しみの一つであった。タイトルごとに分かれた楽曲は全部でなんと175曲。とくにギャラクシーの楽曲は任天堂会員サービス「クラブニンテンドー(2015年に終了)」のプラチナ会員特典として配布されたこともあり、かなりレアな感覚だった。サウンドトラックはプレイリスト作成など細かい設定は出来ないものの、セレクトボタンで画面オフ再生が可能だ。充電を無駄に消費しないほか、自動スリープせずに音楽を聞き続けられる仕組みとなっており、非常に便利な機能であった。

 今作の『スーパーマリオ64』については、解像度が上がり鮮明になっても、走り出しの重さや視点カメラを切り替えたときのサウンドなど「懐かしさ」はそのままだった。ただ、サンシャインやギャラクシーといった作品に慣れている筆者としては、マリオの操作にかなり苦戦したのは否めない。走り出しがゆっくりであるため反転ジャンプの判定が出にくかったり、パンチやキックは一度立ち止まる必要があることや距離感が掴みづらかったりと、初見プレイではマリオを思ったように操作できなかった。とはいえ、これも原作の操作感を大切にしているとも捉えることができ、やり込んだ人にとっては嬉しい点ではないか。

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