AirPodsに紐をつけることは”矛盾している”のか ダイソーの「シリコンストラップ」から考える

 にもかかわらず、なぜ人間は、数万円払っても紛失してしまうかもしれないというリスクを背負いながら完全ワイヤレスイヤホンを使用するだろうのか。

 完全ワイヤレスイヤホンのメリットと言えば、「有線特有のノイズがない」「断線しない」「持ち運びが楽」、そして何より「とにかく引っかかる、絡まるなどの煩わしさがない」という点である。「ワイヤレスである」という点で有線イヤホンが持つ問題点を多く解消できているうえ、最新のAirPods proにはノイズキャンセリング機能が搭載されるなど、大きく進化を遂げていることがわかる。

 さらに、AirPodsにダイソーのシリコンストラップをくっつけると、つけているだけで音楽自体は無線で流れるため、ノイズとは無関係であるうえ、シリコンストラップが断線しても問題なく、有線がわずらわしくなった場合はAirPodsから外せば良いだけなので、AirPodsの機能はそのままに、紛失しやすいという問題点を100円で解消できる、ということがわかる。

 ダイソーのシリコンストラップだけを取り上げれば、はたしてAirPodsの意味はあるのか、と疑問視してしまうが、AirPodsの優位性は単にコードがないというだけではなく、コードがない故の機能性の充実にある、という観点から考えれば、無線ならではの機能はそのままに、紛失防止目的のみのストラップをつけることでAirpodsの問題点を解消でき、より長く、より経済的にAirPodsを使えることがわかり、矛盾だと思っていたものが、じつは合理的であったことに気づく。

 もちろん、スマートではない、という意見はあるかもしれないが、こと「AirPodsを紛失しやすい」という問題と向き合うには、デジタルとアナログを融合させるくらいがちょうど良いのかもしれない。

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