AirPodsに紐をつけることは”矛盾している”のか ダイソーの「シリコンストラップ」から考える
いまやすっかり主流となった完全ワイヤレスイヤホン。全国の家電量販店やECショップのPOSデータを集計する「BCNランキング」によると、ワイヤレスイヤホン市場全体の中で完全ワイヤレスイヤホンが占める割合は2020年6月時点で49.5%と約半分を占めている。同データによると2018年6月時点ではシェアは20.6%だったため、ここ2年で急成長していることがわかる。なかでも2020年上半期(1~6月)の販売台数シェアで首位を獲得したAppleの「AirPods」シリーズが好調だ。(参考:https://www.bcnretail.com/market/detail/20200727_183718.html)
そんななか、ダイソーで「AirPods用 シリコンストラップマグネット付モノトーン」という商品が発売されていた。これはAirPodsの軸にシリコンを取り付け、AirPods同士を繋げ、落下を防ぐというもの。シリコンにはマグネットがついており、コード付きのワイヤレスイヤホンのように、マグネットでコードをくっつけることも可能となっている。AirPodsの大きな特徴は「完全ワイヤレスである」ことと、とそれに付随して紛失しやすいということだが、このストラップは前者の利点をある意味で潰しつつ、後者の問題を解決できるアイテムだ。
完全ワイヤレスイヤホンにストラップを付けて管理するというのは、一見、矛盾した考え方のようにも思える。この矛盾について考えるためにも、まずは「なぜ完全ワイヤレスイヤホンが普及したのか」という視点に立ち戻りたい。
ブームのはじまりは、2016年にAppleがイヤホンの出力端子を廃止し、AirPodsを発売した頃ではないかと推測される。これを皮切りに一気に完全ワイヤレスイヤホンが普及した。しかし、耳から外し、両耳イヤホンともどこかに置いてしまい、紛失してしまう場合や、片耳イヤホンのみ落下してしまって紛失する場合など、筆者の観測範囲だけでも、そういった話題をよく耳にする。
AirPods同様、コードレスが故に紛失しやすいという商品はほかにもある。その一例が3DSのタッチペンである。3DSのタッチペンは細く、小さいため特に子供などは紛失しやすい。そのため、3DSコイルストラップ付きタッチペン「伸びる!オトモタッチペン」という商品が発売されていた。これはゲーム機の本体のストラップホールにストラップを通し、本体に付属させ、紛失を防止するというものである。しかし、この商品がAmazonで850円なのに対し、任天堂の公式サイトでは新しいタッチペンが110円で購入可能なため、新しく買ってしまった方が安いのではないかとも考えられる。
一方、紛失のみならず、落下防止の観点で言えば、携帯を首からかけるストラップはガラケー時代から存在し、2018年頃からはスマホリングが流行するなど、本体だけではなく、紛失防止や落下防止のためのアクセサリーは以前から販売されていたため、従来からこのようなストラップは多く流通していたといえる。