音楽ストリーミングサービスの「楽曲クレジット」、充実度はアーティスト次第? ジェイ・コウガミ氏に聞く“課題”

 好きなアーティストの楽曲がどのような人たちに支えられて作られたのかということは、熱心な音楽ファンであればあるほど気になることだろう。音源をCDやレコードで購入する際、音源自体だけでなく、楽曲のライナーノーツを熟読することも楽しみの一つだと思っている人も多いはずだし、作曲家やプロデューサー、編曲家のファンもそれぞれ存在する。

 各音楽ストリーミングサービスには、「楽曲クレジット機能」が備わっている。しかし、アーティストや楽曲によって、作曲を手掛けたのが誰かわからなかったり、プロデューサーの表示自体がなかったりと、充実度はまちまちである。なぜ、このようなことが起こってしまうのだろうか。デジタル音楽ジャーナリストのジェイ・コウガミ氏はこう説明する。

「クレジット表示や歌詞表示のルールを決めるのはストリーミングサービスですが、歌詞データやクレジットをディストリビューターに納品するのは、アーティストやレーベル、マネジメントの作業になります。ちなみにクレジットは、ディストリビューターによっては「コントリビューター」とも呼ばれています。また、歌詞の多言語表記など、何のデータを納品するかは、作品によってアーティストが入力できます。それを最終的にどう表示するかを決めているのが、ストリーミングサービスになります」

 つまり、歌詞表示や楽曲クレジットの記載における詳細さの問題は、アーティスト側次第ということである。サービス側は、アーティスト側が書き込むための箱をどれくらい充実させるか、を担っているだけで、特に楽曲クレジットを記入するために追加料金を払う必要はないようだ。アーティストやクリエイターによって、楽曲クレジットにどの程度重きを置いてるかは違ってくるのだろう。

 『Spotify』は2018年、作曲家とプロデューサーを調べることができる「楽曲クレジット機能」を追加した。このページからは「作曲家」と「プロデューサー」を確認することができる。また、作曲家・プロデューサー軸のプレイリスト「Works」の実装や、作曲家が「個人ページ」を設立できるサービスも開始された。

 開始されたばかりのサービスのため、今はまだほとんどの作曲家ページが作成されていないものの、だんだんと『Spotify』の「楽曲クレジット機能」が活性化され、裏方にスポットライトが当てられるようになってきていることがわかる。またこのことについて『Spotify』側は、「2018年に「楽曲クレジット機能」を追加して以降、レーベルやディストリビューターが楽曲のクレジットを新曲のリリース時に表示する頻度が60%増加した」と発表している。

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