麒麟・川島明が語る、SNS大喜利の魅力「大喜利はステイホームと相性がいい」

大喜利とステイホームは相性がいい

ーー本誌にはタグ大喜利のほかに、絵画や彫刻への画像で一言も掲載されています。

川島:『IPPONグランプリ』(フジテレビ系)でやってる、写真で一言に近いと思います。4年くらい前からお仕事の関係で、毎年秋にフランスに行かせてもらっているんですよ。ルーブル美術館とかオルセー美術館とか、世界的に有名な美術館をノブくんと2人で巡っていたんですけど、いかんせん美術に関する知識が全く何もない。ただただ、モナリザを生で見たい、そんな理由で行って、とりあえず写真撮ってもいいって言うから、撮ったもののその良さが分からんから、全部に一言ずつ付けてたんです。もともとノブを笑かすために撮ってはノブに送って、一言言うみたいなのをやっていて、たまにインスタに載せたりしてたら評判が良かったので1冊にまとめようってことですね。

ーーInstagramとTwitterの棲み分けは考えていますか?

川島:僕ほんまに美術に興味が湧いて、すごい好きな銅像があるけどなんなのかが分からないと。この間、インスタのストーリーで「この作品名と作者知ってる人いますか?」って聞いたら、1分間くらいで100人くらいが大喜利で返してきたんですよ。これダメだ、まともに会話できるインスタじゃなくなってるわと思ったんです。インスタやる時は大喜利をやる。インスタライブも大喜利。Twitterは基本、告知と日々思ってることをつぶやくっていう、その棲み分けはありますね。

ーー川島さんと言えば『IPPONグランプリ』の活躍が印象深いですが、実際の大喜利とSNS上での大喜利の違いについてはいかがですか?

川島:『IPPONグランプリ』では、自分も知らないお題を用意されて、自分の字と声で回答が出せる。例えば、「そもそも、そんな話はない」って文字で書くより、僕が声で抑揚をつけて言った方がお笑いになることが多いんですよ。SNSは文字だけやし、そのテクニックが全く使えない。ボケもツッコミも全部1人でやらないといけないところがあって、見ている人がどのタイミングで読むのかっていうのもあるし、文字だけで完結させるっていうことは気をつけてますね。

ーー実際の大喜利には間、順番、空気感などもありますからね。

川島:あとは誰かが答えたことに被せるのもありますし、今この瞬間に「これがトレンドやな」っていうのがお題に対して1個あったりするんです。だから、SNSでは冷めても美味しく出さなあかんって感じですね。

ーー先日、ダウンタウンの松本人志さんがTwitterで出されていた画像で一言については、どのように見ていましたか?

川島:ゴリラの写真でお題を出されて、一般の方も芸人も何万人が答えて、締め切ったその1週間後に自分の答えを載せはったんですよ。大喜利で言うと数万パターン出てるってことで、それとも被らないし、おもろいことを書きはったから痺れましたね。『IPPON』ではチェアマンになってはりますけど、まだまだこの人は現役やなとびっくりしました。

ーー芸人さんもたくさん参加されていました。

川島:『IPPON』に出てない人が参加しているのがおもろいと思いましたね。スリムクラブの内間くんとかロッチの中岡くん、寛平師匠との関係も面白くて。ほんまに出てる人は『IPPON』でやればいいしと思って、僕も楽しませてもらってるんですけど。今の時代に面白いなと思いました。

ーーこういった時期だからこそのSNS大喜利ですよね。

川島:大喜利ってすごくステイホームと相性がいいんですよ。

ーー本誌に掲載されているイラストは、川島さんが描いたものとのことで。

川島:もともと、挿絵を描く予定はなかったんですよ。芸能人のバトンリレーが流行ってたじゃないですか。僕、アナログだからよく分かってなくて。ダレノガレ(明美)さんから「ニンジンの絵を描いて」とインスタストーリーでバトンが回って来たんです。どういうこと? って思いながら、水彩画で渋い人参の絵を描いてTwitterに載せたら、全然趣旨が違ったというのを後から知りまして(笑)。次はノブからもボケで「亀の絵描いて」って送られてきて、まためっちゃ渋い亀の絵を描いたんですよ。全然趣旨違うわ! って盛り上がったんですけど、それを見た宝島社の編集の人が、「ニンジンと亀の絵すごいいいから、あれ本に載せません?」って言ってくれたんですよね。文字だけの大喜利の連発やから読んでても息抜きできない状況で、絵がポンと入ると休憩になるなと思って。せっかくだからもうちょっと描いてくださいって感じで、15個ぐらい載っています。この時期じゃなかったらこんなことにはならなかったですね。

ーーバトン疲れに対する「回せたら回しとくわ」というイラストには、自分も共感しました。

川島:よく言うてくれたと絶賛されました。ニンジンの絵描いて、亀の絵描いて、好きな写真を上げるって、ここまではよかったんです。その後に「身長を発表して回してください」みたいなのが来たんですよ。刑務所みたいなことしてるな、なんやそれ。なんで俺が「179cmです。千鳥のノブさんお願いします」って誰が笑うねん、これ! みたいな。もうこれはバトンでも何にもなくなってるなという状況やと思って描きましたね。

ーー「スタンプにできたらええなぁ」とつぶやいているのも拝見しました。

川島:もうちょっと絵が貯まったら、ほんまは本を買ってくれた人だけにQRコードが付いていて、LINEのスタンプをダウンロードできたらなという動きもあったんです。後々からでも買ってくれた人に無料でプレゼントできたらなと思いますね。

ーー「終わりに」には、「当初の予定よりかなりハッシュタグが増えました」との記載もあります。

川島:当初は、インスタに載ってるやつはそのまま掲載しよう、プラス20人くらい新ネタやろうという計画やったんですけど、自粛で仕事もなくなりまして。4月なんかはほぼ休みになりましたから、お笑いやりたい気持ちを全部この本に入れたんですよ。今までのも全部新ネタに書き直して、今のインスタに載ってるものとはほぼ違うんです。あとは単純にタグが一人、1個2個増えているので、結局芸人だけで言うても60パターン×10で約600のタグが付いていますから。世界にこんな本ないと思ってます。「どんだけ大喜利やんねん!」みたいな本になったのは、本当この時期だったからで、ここまで本に人生かける時間って最初で最後かなと思っています。そこはギュッと詰まったいい本になりましたね。

ーー川島さんにとってこの本はどんな1冊になりましたか?

川島:20年やってきて、1個ここが大喜利の句読点です。こんだけの数を被らんようにすごい濃いバリエーションを入れたんですけど、全部出した感はありますね。だから、来年読んで、こんなレベルやったんだとか、こんなこと言えてたんやってなるのかもしれません。要所要所で自分が読み直す本になるかなと思います。

ーー投稿はこれからも続けていく予定ですか?

川島:もちろんです。インスタの中で芸人なのか、載せてくれって言ってくれた芸能人の方なのか。もしくは、考えているのが風景画とかで出来たりしないかなとか。インスタはインスタで続けていきます。

ーータグ大喜利、イラストのほかに今後チャレンジしていきたいものはありますか?

川島:藤井隆さんに誘われてサックスを始めたんです。

ーーSLENDERIE RECORDのYouTubeチャンネルで公開されている「tenor ch」ですね。

川島:これもやり始めたからには趣味で終わらずに、お客さんの前でやるプレッシャーのもと、成長していかないともったいない。後戻りできない額のサックスを買いましたので、一生懸命やっていきたいですね。サックスが上手くなれば、サックス漫談もできるのかなと(笑)。舞台でおもろくないこと言ったあとに、めっちゃカッコイイサックスを吹けばおもろそうやなって(笑)。

ーースベったのをサックスで帳消しにするイメージ(笑)。

川島:サックス大喜利って全く絵が浮かびませんけど(笑)。お題に対してサックスの音色で答える。それもサックスが上手すぎないと面白くないから頑張りたいですね。

『#麒麟川島のタグ大喜利』

■発売情報
『#麒麟川島のタグ大喜利』
発売日:2020年5月25日(月)
価格:本体1200円+税

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