『テラスハウス』“東京”編の功罪 ハワイ編、軽井沢編と比べてなぜ恋が実りづらく衝突が多い?

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で配信が一時休止になってしまったが、『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』は開始から約1年が経過し、話数も40まで伸ばしている。当初は、“東京オリンピック開催に向けて”と銘打たれていたものの、それも1年後に延期。東京を舞台にする意味が薄れかけている現状では、ハワイ編や軽井沢編などに比べてあまり恋愛が発展しない状況も物悲しく映るだろう。

 ここでは、東京編で恋が実りづらい理由や、シーズンによって大きく異なって見える人間関係の濃密さについて、ハワイ編や軽井沢編と比較しながら振り返ってみたい。まだ東京編以外に触手が伸びていない人は、ぜひこのGW期間中に観てみてほしい。それぞれに異なる“人の性格”や“舞台の美しさ”にきっと魅了されるはずだ。

<恋愛面>「定番のデートスポット」「恋する理由」が多い軽井沢編

 まずは、東京編が他のシーズンに比べて色恋が少ないことにロケーションの観点から切り込んでみたい。

 ハワイ編や軽井沢編の特徴として最初に挙げられるのは、「定番のデートスポット」の多さだろう。ハワイならサーフィン、軽井沢ならスノーボード(スキー)という特定のスポーツとの関わりが深い土地であるのに加え、この2つはれっきとした観光地でもあるから、イチ旅行者の気分でデートスポットを選ぶことができる。そうすると場所選びの際のハードルが一気に低くなり、“相手を誘う”ことも容易になる。スノボーやスケートをしにいったり、パスタや蕎麦を食べに行く軽井沢編の一幕が印象深い。

 一方で東京は、何から何まで多様に発展した土地だ。食事をするのか遊びに行くのか、車で行くのか電車で行くのか、どこに行くにしても「なぜそこに行くのか」という理由が突きつけられることになる。そんな状況だからか東京編ではよく迷走したデートも展開されており……。例えば、流佳がたびたび巻き起こした距離感ガン無視のデートプラン、あるいは社長主導の京都への1泊2日水族館旅行、ビビに日本の美を体感させるため(?)志遠が計画したデートプランもちょっと特異なものになっていただろう。

 多様なデートスポットから選ぶからこそ、翔平が見せてくれた店選びのセンスの良さ、ペッペによるプリンスホテルでの告白などが光るという側面もあるので一概には言えないが、デートスポットを選ぶハードルが高く、相手を誘う口実が見つけづらいのが東京編の難点のひとつではある。

 また、東京編はもともと東京に住んでいて、仕事の拠点も東京であるという人が多いことも恋愛が発展しづらい大きな理由のように思う。ハワイ編で「死ぬほどの恋を探しにきました」と言ったギルティ侍(大志)や、軽井沢編で「最後の恋を見つけにきました」と入居時に述べた聖南を例に出すとわかりやすい。彼らは「恋をすること」を第一条件として、“遠くからわざわざ”ハワイであったり軽井沢に行くわけである。そうであるから、恋を実らせないことには元いた場所に帰りづらい。だから彼らは、卒業したら一生のお別れになってしまう可能性も考えて、積極的にアタックしていったのだろう。そのあたりの恋愛への切迫感が、東京編では希薄なのだ。

 新メンバーの玲生は入居時に、「今のテラスハウスはみんなが離れている感じがするから、みんなで一緒に熱いものをつくっていきたい」と意気込んでいた。その玲生による“テラスハウス改革”にも期待していきたいところだ。

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