『ドラ恋~Bang Ban Love~』最終話ーー「告白のキス」をしたのは誰? それぞれの“強さ”見えたラストシーン

 3人目のみこと(日比美思)は、袖で呼吸を整えてから舞台に立ち、たすく(井上佑)を指名。2人のこれまでの振り返りVTRをみて、懐かしさとともに切なさが込み上げてきた視聴者も多かったのではないだろうか。

 2人はベンチに座り、みことは「2人で話すのが久々な気がするね」と切なく切り出したあと、「いつも言葉が詰まっちゃって自分の言葉で上手く言えないんだけど、それでもたすくくんが他に想ってる人がいるっていうのはわかる」と、必要以上に重く聞こえてしまわぬように、細心の注意を払いながら話す。彼女はこれから始まるドラマの結果が既にわかっていて、いわゆる“負け試合”だということも重々承知した上で、それでも語り続けるのだ。

 みことはその後も「だからどうにかして話さなきゃ話さなきゃって思ってたんだけど、なんか好きって思うと全然話せなくなっちゃって、目も合わなくなっちゃって、『きっとたすくくんの気持ちが動いたんだな』って思った」と。巷に溢れる少女漫画よりも韓流ドラマよりも切なく、聞いているこちらの胸が張り裂けそうになる。「このまま伝えないまま逃げちゃおうかなって思っちゃって、でもたすくくんに対して感じたことをちゃんと伝えたくて……私はたすくくんが好きです」とみことの目から一筋の涙が流れた。

 誰も悪くはない、俗に言う「タイミング」の問題だと言ってしまうのは簡単だが、あんなに全身全霊で自分を想い、自分の姿を日々一生懸命追ってくれていた視線に、ある時を境に急に自分の姿が全く映っていないことを悟ってしまったとき。そしてこれまで自分に向けられていた温かな眼差しの先に別の人がいると気づいてしまったとき。もうそれが取り返しのつかない事態だと思い知らされたとき。きっと、みことの頭の中でいくつもの“もしもあの時こうしていれば……”が浮かんでは消え、後悔を重ねたことだろう。そのやるせなさを乗り越えての告白は本当に“強すぎる”。

 それに対してたすくは「俺は初めて演技をした相手がみことじゃなかったら、俺がこうやって芝居に向き合うことってなかったと思ってて。俺に演技の楽しさと同時に、難しさとかそういうものも全部教えてくれて、日々みことっていう人間をいち表現者として、いちエンターテイナーとしてほんまに尊敬してるし、ほんまに」と真っ直ぐ伝える。「けど、俺には好きな人がおる。俺はその人とずっと一緒にいたいと思ってる。ごめん。ほんまに」と続けた。

 しばしの間の後に「でも自分が思ったこととか感じたことに真っすぐに進むたすくくんが好きだから、今の答えが聞けて良かったなぁと思う」と返すみこと。「あと1個だけ」と重ねるたすく。「これだけは勘違いしてほしくないのは、ほんまに好きやった」とみことを真正面に控えて伝えた。この本気の過去形がまた切ない、苦しい。これには色々と覚悟の上、腹を決めてこの告白に臨んだであろうみことも、声を詰まらせながら「私も好きだった」と泣きじゃくった。ベンチから立ち上がり、握手し、たすくは苦しそうな表情で「ありがとう。しんどい思いさせてほんまにごめんなさい」と謝った。

 これに対して「今まで恋愛に一歩踏み出せない自分がいて、なんか、たすくくんが沢山伝えてくれたから、私も伝えたいと思ったから、たすくくんのおかげで一歩踏み出せたから、だからほんとにありがとう」と言い切ったみこと。そして「最後に友達として」と両手いっぱい広げるみことに、ハグをする2人。どんどん遠ざかるたすくの背中を見送るシーンまで、どんな物語よりもドラマティックだった。

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