東海オンエアの“聖地巡礼”から考える、地域密着YouTuberと自治体の「理想的な関係性」

 愛知県岡崎市に拠点を置く、6人組YouTuber・東海オンエア。いまやチャンネル登録者数は500万人に迫る勢い(※サブチャンネルの登録者は約240万人)で、株式会社BitStarの調査による「インフルエンサーパワーランキング2019」では1位を獲得。本日放送のバラエティ番組『ダウンタウンDX』(日本テレビ系列)に、しばゆー、てつや、りょうの3人が出演するなど、既存のYouTuberファン以外の間でも注目が高まっているようだ。

 押しも押されもしない人気者の彼らだが、メンバー6人中5人は現在も愛知県岡崎市在住(※結婚により、しばゆーのみ関東在住とのこと)である。HIKAKIN・SEIKINは新潟県出身、はじめしゃちょーは静岡県在住、ヒカルはもともと兵庫県で動画活動をスタートするなど、ネットで発信するYouTuberは地理に依存しないこともあり、地方出身者・在住者が多いとされる(人気が高まると上京するのはどんなジャンルでも同じだが)。

生まれ育った市内ならどこでも何かしらの思い出あるはず!?

 そのなかでも東海オンエアは、ズバ抜けて“地域密着型”であり、彼らの動画に出てくるラーメン屋や公園は“聖地”とされ、多くのファンが足を運んでいる。

 筆者も2度ほど岡崎市に“聖地巡礼”に行ったのだが、そこでロードサイドの家系ラーメン店『まんぷくや』に長蛇の列、しかも大半は若い女性という光景を目の当たりにし、彼らの人気の凄さを実感したのであった。

【遂に】夢にまで見た地元ラーメン店へ...

 そんな活動が岡崎市からも認められ、2016年8月から「岡崎観光伝道師」に任命されているのだ。著名人が地元の観光PR大使に任命されるのは、決して珍しいことではない。しかし、彼らは現在もそこに住んで、動画を撮影しているわけで、こんなに臨場感のある“聖地”は他にあるだろうか。

 そして、岡崎市の施策にも注目したい。動画撮影のロケに協力することはもちろんのこと、公用車を東海オンエア柄の“痛車”にしたり、メンバーの等身大パネルを作成し岡崎市の観光名所に設置したりと、YouTuberを“観光資源”として的確に利用しており、2018年には東海オンエアの動画にもよく出てくるラーメン店『キブサチ』と制作した「東海八丁台湾ラーメン」が、「全国ふるさと甲子園」グランプリを受賞するなど、様々な形で成果をあげている。

 ちなみに、岡崎市のホームページで“歳入”を確認したところ、この数年で右肩あがりとなっている。もちろん、東海オンエアの影響で観光客が増えた影響なのか、彼らの納める“税”なのか、それともまったく関係ない理由なのかはわかりませんけどね……。なお、岡崎市の「ふるさと納税」には、東海オンエアのグッズも返礼品として採用されている。これは納税せざるをえない。

【大盗難】岡崎市中に隠された俺の物を探し出せ!!!

 それだけではない。彼らの等身大パネルは、もはや観光名所となっているが、お披露目翌日にてつやのパネルが盗難に遭ってしまったのだ。(現在設置させているのは2代目の「弟」)しかし、それを逆手に取り、街中にてつや捜索ポスターが貼られ、またそれを見てファンが喜ぶという、転んでもタダでは起きない強さを感じる。また、いたずらにより首の折れた等身大パネルに「デュラハン」(名前~~~!)と名付け再利用したりと、いい意味でお役所仕事感がない……というか、「ここまでふざけて大丈夫なのか?」と、こっちが心配してしまうレベルなのだ。それも、単なる悪ふざけではなく、東海オンエアの良さを生かした観光PRとなることを理解してやっていることが伺える。

関連記事