世界を変えるカラオケスタートアップ、なぜフィンランドから登場? 創設者に聞く“業界への問題意識”

カラオケ新業態、なぜフィンランドから?

進化の見えないカラオケ業界

 世界大会の主催は、カラオケ業界がどのように成り立っており、どのような製品を作っているのかを知ることのできる良い機会だった。しかし同時に世界のカラオケ業界の進化の無さも認識することとなった。

「2000年代初頭にあっても、カラオケ業界は80年代に私が子供の頃遊んでいたファミコンのようなグラフィックのまま、なんら変わっていなかった」(フヤネン氏)

 グラフィックだけではない。モダンなカラオケ会社ですらカラオケマシンやディスクシステムなど、時代と共に形を変えた製品を作り続けてはいるものの、古いビジネススタイルを守り続け、まるで「進化する時間が無いか、進化することに興味が無いかのよう」だった。

動画はSlush 2019で行われたSingaを利用してのカラオケイベント

 その後フヤネン氏はカラオケ大会を離れ、フィンランド発のNGOスタートアップイベント『Slush』に共同設立者として携わっていた(こちらも日本では『Slush Tokyo』として開催されたことがあるので周知度も高いだろう)。

 『Slush』を立ち上げてから4年の月日が経ち、自分でも何かスタートアップを始めようと言うときに思い出したのがカラオケだった。だが、カラオケ業界を見つめ直して「4年前から何も進化が無い」ということに驚いた。

「当時は音楽ストリーミングではSpotify、動画ストリーミングではNetflixが出ていて、電子ブックやオーディオブックにもサブスクリプション式のものが登場してきた頃なのに、カラオケに関しては変化はなかった」(フヤネン氏)

 こうしてフヤネン氏は革新から取り残されたカラオケ業界に未来を起こす道を選んだ。次回の記事ではSingaそのものの詳しい説明をしていこう。

Source: Singa

■Yu Ando
フィンランド在住フリーライター。執筆分野は、エンタメ、ガジェット、サイエンスから、社会福祉やアートに文化、更にはオカルト系まで幅広い。ライター業の傍らアート活動も行っているほか、フィン・日両国の文化を紹介する講演を行うことも。趣味はガジェットへの散財。
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