YouTuberはなぜ「鬼ごっこ」をするのか? フィッシャーズ、ボンボンTV、ヒカキンなどの動画から考察
人気YouTuberグループのフィッシャーズが1月11日、自身のYouTubeチャンネルに「【100分間】日本の王者たちvsシルクロードで本気の鬼ごっこした結果!?【フィッシャーズ】」という動画を公開した。そのなかで、SixTONESの髙地優吾、Snow Manの向井康二、モノマネタレントのコロッケなどの豪華ゲストに加え、“鬼役”として俳優の山下智久が登場したことが大きな話題を呼んでいる。
フィッシャーズに限らず、個性豊かなクリエイターによる「鬼ごっこ動画」はYouTube上に多く投稿され、高い人気を獲得している。その理由は、いったい、何なのだろうか? 具体例を交えながら検証していきたい。
オリジナリティを打ち出しやすい
鬼ごっこはシンプルでスリリングな遊びだ。その根底には、「追われる側-追いかける側」というわかりやすい対立構造がある。これを軸に、ディテールを自由自在に変えてクリエイターの独創性を打ち出しやすいというのが、鬼ごっこ動画の大きな魅力といえるだろう。
クリエイターによっては、子供が公園でやるような単純な動画を投稿する場合もあれば、細かく設定を作り込んだものを投稿するケースもある。やってみた系YouTuberグループ・ボンボンTVによる「廃病院貸し切ってゾンビ鬼ごっこやってみた!」は、「凝った鬼ごっこ動画」の一例。タイトルの通り、病院を舞台にボンボンTVのメンバーがゾンビから逃げ惑うという趣旨の鬼ごっこ企画なのだが、冒頭がドラマ仕立てになっており、よく作りこまれている。
ちなみに、ボンボンTVはこれ以外にも、クリスマスシーズンに学校を貸し切ってサンタコスとトナカイコスで鬼ごっこをしたり、体育館に小学生100人を集めて鬼ごっこをしたりと、フィッシャーズと並ぶ鬼ごっこ動画の常連として知られる。
また、人気YouTuberコンビの水溜りボンドは、GPS機能で他プレイヤーの位置情報をチェックできるスマホアプリ「GPS鬼ごっこ」を活用した動画を投稿。昔ながらの遊びの進化系に挑戦するというのも、YouTuberらしい試みといえるだろう。
映像化する際のフォーマットが存在する
『ニンゲン観察バラエティ「モニタリング」』や『水曜日のダウンタウン』(ともにTBS系)や『帰れま10』(テレビ朝日系)をはじめ、テレビの人気番組を彷彿とさせる企画は、YouTube上でも人気のコンテンツとなっている。「鬼ごっこ動画」においては、フジテレビ系のゲームバラエティ番組「逃走中」に影響を受けていると思われるものが多い。鬼に追われる「逃走者」にCCDカメラをつけるなり、カメラマンをつけるなりして常にその動向を追えるようにしたり、先述のボンボンTVの「廃病院貸し切ってゾンビ鬼ごっこやってみた!」動画のように、ちょっとしたドラマ仕立てになっていたりと、そのエッセンスがうまく散りばめられている印象だ。
また、ヒカキンが投稿した「【名探偵コナン】犯人20人 vs ヒカキン1人の鬼ごっこが地獄過ぎたwww【名探偵コキン】」は、黒の全身タイツのモブキャラが体育館に多数集まる構図が、バラエティ番組「ガキの使いやあらへんで」(日本テレビ系)でかつて放送された罰ゲーム企画「24時間耐久鬼ごっこ」を思わせる(もっとも、『ガキ使』ではガキ使メンバーが追いかけられる側で、一方、ヒカキンの動画ではヒカキンが追いかける側だったが)。このように完成された雛形があることも、鬼ごっこ動画の制作を促進する要素になっていると言えるだろう。