連載:ゴールデンボンバー歌広場淳の「続・格ゲーマーは死ななきゃ安い」
歌広場淳が2019年のeスポーツを総括! 2020年以降のキーワードは「でも、やるんだよ」
「崖」が訪れても、ゲームの価値を信じ続けること
さて、「起」「承」と来て、続くのは「転」。僕が好きな映画の三幕構成で例えると「二幕目」にあたり、簡単に言えば、一幕目で子供だった主人公が、三幕目で大人になるための「崖」が訪れるところです。それは必ずしも想定できる「試練」ではなく、偶発的な「事故」によるものかもしれない。
急速に「ゲーム」というものが認められ、それに携わる人々の立場も確立されていっているように見えるなかで、僕らは再び、ゲームに対する無理解や理不尽、拒絶というものに直面するときがくるかもしれません。例えば、eスポーツというムーブメントに対するカウンターのように、「ゲームの悪影響」を伝えるニュースもそれなりに目立ちますし、何か偶発的なことで、そういう議論が一気に噴き上がる可能性もある。大事なのは、そのときに一歩引いてしまうか、それでもゲームというものの価値を信じて前進できるか、ということです。
一見無関係に思えるかもしれませんが、例としてゴールデンボンバーの話をさせてください。僕らは11月16日、全国ツアーの一環として、和歌山県の沖ノ島で「無人島ライブ」を行ないました。「地方民について本気出して考えてみた~4年以上行ってない県ツアー~」と題して、ご無沙汰していた場所も細かく回ろうというツアーのコンセプトにも合っていたし、何より2018年にX JAPANさんが「無観客ライブ」を開催されたことに触発されてのことです。つまり、シーンを牽引するトップアーティストがそんな無茶なことをしてくれるなら、僕らはもっと無茶をすべきだろうと。
それで開催を決定したのですが、これが想像以上に大変だったんです。電気も、ケータリングも、トイレだって手配しなければいけないし、まさに「崖」をつたって上陸するような場所で。コストは想定よりはるかにかかり、しかしそれに見合ったリターンが得られるかは全くわからない。少なくとも目に見えるメリットは、決して多くありませんでした。「だから、やめましょう」と言えてしまう条件は揃っていたんです。
しかし、僕らと事務所が出した結論は、「でも、やるんだよ」だった。子供のように単純に、損得勘定だけで判断したら、たぶん取りやめることになったでしょう。だけど、僕らの周りにいる人たちはそれに価値を見出して、きちんと大人として、面白いことを実現するんだという判断をした。ライブは本当に楽しかったし、僕自身はそんなに大変な思いをしたわけではないのに、どうしようもなく泣けてきちゃいました。
少し話がズレたかもしれませんが、eスポーツ /ゲームというシーンに逆風が吹き、「だから、やめましょう」と簡単に言えてしまう状況になったときに、大人が「でも、やるんだよ」という判断ができるかどうか。「それだけの価値があるシーンなんだ」ということを示す姿勢を見せ続けられるかどうかが、2020年以降、大事になっていくと思います。
(取材・構成=橋川良寛)
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